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KDDIの前身「第二電電」というネーミングの先見力 時代をとらえ世界を見れば、進む道が見えてくる

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この名前は私が考えたプロジェクトネームで、あくまで仮称のものでした。正式にはもっと別の「ワールド○○○」といった横文字の入ったおしゃれな社名を考えており、コンセプトペーパーにもその候補名をいくつか記してあったのです。

「第二電電」の誕生

それで社名の検討に入ったとき、私が横文字入りの名を提案したところ、盛田さんが「そんなカッコいい社名はかえってよくない。それより、ここに書いてある『第二電電』というのがいいじゃないか」と反対意見を述べたのです。

自らの会社にもSONYという英語表記の社名をつけ、グローバルな視点をもち、ブランディングについても一家言をもっておられた盛田さんが、第二電電という泥臭いプロジェクトネームを推す真意を測りかねて、

「これはあくまでプロジェクト名です。日本でいちばんの通信会社をめざそうというときに、自ら『第二』を名乗るのはいかがなものでしょう」

と私は反論しました。

しかし、盛田さんは間髪をいれず、こう返してこられた。「千本くん、それは少し認識不足だな。横文字の社名はたしかにカッコいいが、いちいち説明が必要でわかりにくい。第二電電なら一発で、『ああ、二番目にできた電話会社だ』と老若男女の誰にもわかるじゃないか。泥臭いかもしれないが、こういう通りのいい名前の大衆への浸透力や爆発力というのはすごいものだ」

これを聞いて、私は目からウロコが落ちる思いがしました。たしかに、自分でなにげなくつけて、ひんぱんに使っていた仮の社名でしたが、そのわかりやすさのインパクトは横文字のそれをはるかに超えています。いまでいう「キャッチー」なネーミングです。

稲盛さんも「なるほど」と感心し、けっきょく正式社名も第二電電に決まったのですが、こういうことを簡単に思いつき(簡単にではないのかもしれませんが)、平然と提案できる盛田さんのマーケットセンスは真に洗練されていたというほかはありません。

私は、さすがは世界のソニーを率いる傑物だと驚愕まじりの敬意を抱きました。盛田さんもやはり、とても「先の見える」名経営者だったのです。

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【日米両国の経済環境の格差に目をつけた】

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