最新版!「収入が多い国立大学法人」ランキング 「国際卓越研究大学」立候補した大学の収益力は

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1位は東京大学で、経常収益は2641.0億円。国立大学と私立大学では会計基準が異なるものの、2月7日に配信した「最新!「収入が多い私立大学ランキング」TOP200」のトップは、順天堂大学の2035.9億円(事業活動収入計)となっており、東京大学の経常収益はそれを上回る(ランキングは3ページ目に掲載)。

経常収益の内訳をみると、運営費交付金収入が827億円と最も多く、収入の3割を占める。ほかに附属病院収益537億円、受託研究収益457億円、共同研究収益167億円、授業料収益139億円、寄付金収益84億円という内容になっている。

2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされ、国立大学は外部資金の獲得に注力してきた。東京大学の2004年度の収入をみると、運営費交付金が占める割合は約半分を占めており、受託研究等収益(209億円)や寄付金収益(58億円)など外部資金は2021年度に比べてはるかに少ない。

国際卓越研究大学に認定された場合、年平均3%程度の支出成長率(事業規模の拡大)が求められる。公的な資金が減少する中、いかに外部資金を獲得するかが目標達成の要だ。東京大学は、300億円規模の大学債の発行や受託・共同研究の強化など財源の多様化を進めている。さらに1000億円規模の基金を設立し、運用益を研究・教育の強化に使えるようにする予定もある。

2位の京都大学の収入は、1663.2億円。3位は名古屋大学、岐阜大学を設置する東海国立大学機構で、経常収益は1648.2億円に達する。以下4位大阪大学(経常収益1601.7億円)、5位東北大学(同1532.4億円)、6位九州大学(同1358.4億円)と続く。上位6校はいずれも国際卓越研究大学に立候補した国立大学だ。

数百億円規模の分配金で研究力を上げられるか

これらの大学が仮に国際卓越研究大学に選ばれ400億~600億円の支給が得られれば、1.2~1.5倍程度まで収入が拡大することになる。

残る国際卓越研究大学候補の国立大学2校の収入規模はどうか。

筑波大学の経常収益は1060.8億円と上位6校から水をあけられているが、8位にランクイン。東京科学大学に統合予定の東京医科歯科大学東京工業大学は、それぞれは13位(経常収益683.3億円)、22位(同504.4億円)となっているが、単純合算すると1187億円となり、7位相当となる。

なお、2022年4月に小樽商科大学帯広畜産大学北見工業大学が法人統合して発足した北海道国立大学機構は、3校の経常収益を単純合算すると121億円程度で51位相当となる。

研究力強化の起爆剤として注目を集める大学ファンドだが、海外の著名大学の収入は国内の大学とは比べ物にならないほど大きい。アメリカのハーバード大学の収入は7000億円超で、その約4割を資産運用等収入が占める。ハーバード大学は寄付金などからなる4兆円規模の独自基金を持ち、潤沢な運用益を研究・教育力の強化に充てている。

大学ファンドでは研究力強化に加え、最長で25年とする助成期間の終了後も持続的な成長を実現できる規模の運用益を生む独自基金を設立することを求める。国際卓越研究大学候補の8校の国立大学の平均収入は1400億円程度で、数百億円規模の分配金のインパクトは小さくない。

しかし、数百億円の分配金を基に、海外の有力大と並ぶ研究力やそれを支える財務基盤を生むことができるのか。国際卓越研究大学に求められるハードルは高い。

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