MMTはインフレで本当に「オワコン」になったのか 「デマインドプル」と「コストプッシュ」の違い
岸田政権は、昨年、防衛力の大幅拡充を決定したが、その「財源」をどうするかが大きな問題となり、論争が巻き起こった。
さらに岸田政権は、三月末には、少子化対策のたたき台を発表したが、またしても、その「財源」が問題となっている。
このように、岸田政権は、大胆かつ重要な政策を矢継ぎ早に打ち出しているが、その実現の前には、必ず「財源」の問題が立ちはだかる。
まるで、日本は、「財源」の問題に制約されて、何もできないかのようである。
この場合、「財源」の確保というのは、一般的に、税や社会保険料などを国民から徴収して、政府の支出に充てることが想定されている。つまり、政府支出の拡大の代償として、国民の経済的負担が増えるものとされているのである。
しかし、ここで考えてもらいたい。
そもそも、「財源」を確保するということは、貨幣、日本であれば「円」という通貨を調達してくるということである。
しかし、その「円」という通貨は、政府が創造し、供給できる。ならば、なぜ、政府は、通貨を国民から徴収しなければならないのか。
政府は、財源が必要ならば、自ら通貨を創造して供給すればよいだけであろう。
つまり、政府には、財源の制約はないのである。
MMTは本当に失効したのか
近年、このような説を唱えるのは、MMT(現代貨幣理論)という非主流派の経済学だとされている。
MMTは、「政府は、自国通貨を発行できるので、自国通貨建て国債はデフォルトしない」という主張で知られている。
もっとも、このような主張だけであれば、何もMMTだけが唱えていることではなく、主流派経済学者や我が国の財務省も認めていることである。
そうであるならば、政府は、財源の問題から解放されて、国防であれ、少子化対策であれ、地球温暖化対策であれ、望ましい政策をもっと実現できることになろう。
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