地価急騰の木更津、移住者引き寄せる納得の理由 都心も通勤圏、自然環境と商業施設が充実

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バスターミナルとコストコの間に広大な空き地スペースがある。草が茂り、手つかずのままだ。実はここ、2019年に地元の総合不動産ディベロッパー、新昭和グループが県の分譲地を落札し、「木更津ゲートウェイ・ヴィレッジ」という大型複合施設の建設を計画している場所だ。

同社のサイトには、病院、ホテル、保育所、ドラッグストア、スーパーマーケットなど多種多様なテナントに加え、スタートアップ企業のインキュベーション施設やデジタルクリエイティブの撮影スタジオなどを盛り込む方針が紹介されている。

開業時期などについて同社に問い合わせたところ次のような回答が返ってきた。

「過去に、2023年より順次開業と発表させていただいています。保育所はすでに開設していますが、それ以上のことを公表できる段階ではありません」(同社担当者)。建物が完成するのは来年以降になりそうだ。

レジャーも豊富

帰路、アクアライン近くの金田見立海岸に立ち寄ってみた。これから潮干狩りの季節になるが、ここの海では潮干狩りの他にバーベキュー、シーカヤック、さらにはキャンプまで楽しめる。公示地価上昇率で東京圏ナンバー1の地区から車で10分ほどの圏内にこれだけ充実した交通インフラ、商業関連施設、レジャー施設などがそろっているのだ。

東京と千葉県を結ぶアクアライン(筆者撮影)

それでいて地価は約6万円(1平方メートルあたり)と、まだ格安感がある。都内で唯一コストコの店舗があり、新宿まで小田急線で30分あまりの町田市は、公示平均価格が15万7200円。単純比較はできないが、これだけ違えば、子育て世代が移住先の選択肢に入ってきてもおかしくはないだろう。

実際の移住や転入の実態はどうなっているのだろうか。2022年の日本人転入者5372人の5歳別データを見ると、0歳から14歳までの子ども世代が601人。25歳から44歳までの子育て世代が2382人となっている。つまり全体の56%が子ども、子育て世代ということだ。

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