絶好調サンリオ、「不正発覚」で浮かんだ深刻事情 株価10年ぶり高値でも組織風土の課題が露呈
調査報告書は、新しい会社の方針が全社的に十分に浸透しない中で、創業者が社長だった時代の「売り上げ予測の精度確保への過度な圧力が、ライセンス営業本部に残存している」可能性を指摘している。
サンリオでは、今回対象となった部署以外も含めた全社調査を終えており、報告された以外に不正はなかったとみている。ただ、一部の事業部だけでなく、会社全体に根付いた風土や社員の意識を抜本的に変えない限り、この先でも同様の不正が起きる危険をはらむ。
中塚取締役は「本件を契機にコンプライアンスの底上げを図り、類似事象があればすべて膿を吐き出す。今後仮に同じような事象が起きれば、しっかりアラートが出るような仕組み作りを進めている」と強調する。
外部人材の登用で構造改革は進んだが…
中計で「第二の創業」を掲げたサンリオは、この数年で外部人材の招聘を積極化させている。ボストン・コンサルティング・グループ出身の中塚取締役も、その中で登用された重役の1人だ。
海外事業や物販事業を担当する役員にも次々と外部人材が登用され、赤字続きだったアメリカ事業の立て直しや、国内物販の過剰在庫削減といった構造改革を進めてきた。足元の業績急回復は、一連の改革が実を結んだ結果でもあり、中塚取締役も「すべての事業において想定を上回る成果が出ている」と胸を張る。
3月中旬には幼児向け英語教材「Sanrio English Master」の発売を発表し、創業家の「夢」でもあった教育事業に本格参入。早期のうちに、教育事業だけで100億円の売り上げ達成を目指している。
外部人材主導の構造改革で収益改善効果が出たとはいえ、現場社員の実行力なくして持続的な成長軌道には乗せられない。市場の期待が高まる中、サンリオにとってこれからが正念場となる。
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