アメリカが「建国の理想」ゆえに自壊する理由 自由民主主義の維持に潜む恐怖のパラドックス

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「自由民主主義の総本山」と見なされてきたアメリカが抱える、内戦の危機をもたらす恐怖のパラドックスとは(写真:haku/PIXTA)
2021年1月、アメリカ、そして世界に衝撃を与えた「Qアノン」煽動による前代未聞の連邦議会襲撃事件。次期大統領選への出馬を表明しているトランプ氏の動向次第では、再びこのような事態を招くのか。さらには2度目の「南北戦争」を招いてしまうのか。
世界中で「内戦」が急増している現状とその原因、アメリカでも内戦が勃発する潜在性が高まっている状況について、アメリカを代表する政治学者が分析し警告した『アメリカは内戦に向かうのか』(バーバラ・F・ウォルター著)を、評論家で作家の佐藤健志氏が読み解く。

世界はボウイの予言に追いついた

イギリスのロック・スター、デヴィッド・ボウイは1970年代、未来的かつ終末論的な作風の曲によって注目された人物。

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しかるに出世作『ジギー・スターダスト』を発表した1972年、ボウイは次のように発言しています。

「自分たちの戦争に備えよ。なぜなら、君たちの戦争になるだろうから。これはみんなに言ってるんだ。なぜなら今度の戦争は市民の間で行われ、国対国という規模にはならないだろうから」(マイルズ編『デヴィッド・ボウイー語録』、柴田京子訳、新興楽譜出版社、1982年、121ページ。表記を一部変更)

 

「David Bowie」のカタカナ表記は、現在では「デヴィッド・ボウイ」が一般的ですが、かつては「ボウイー」と末尾を伸ばす例も多く見られました。それはともかく、注目すべきは「今度の戦争は市民の間で行われ(る)」という箇所。

半世紀前の時点で、ボウイは世界が内戦の時代を迎えるのではないかと語っていたのです。1972年、イギリスでは北アイルランドをめぐる状況が悪化、1月には陸軍部隊がデモ行進中の市民に発砲する「血の日曜日」事件が起きているので、それに触発された可能性はあるでしょう。

 

ただしアイルランド情勢だけで、すべてを説明することはできません。翌1973年、ボウイはアメリカについて「災禍に向けての新しい出発点(に立っている)という気がした」と語ったのです(同、85ページ。カッコは引用者)。

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