パリがゴミだらけ、仏年金改革「反対スト」深刻背景 受給年齢の引き上げに怒りを爆発させる理由

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1つは上下両院での審議で最終的に政府は憲法49条3項を適用し、強引に改革法案を可決したことだ。

憲法49条3項は安全保障や社会保障で緊急性、重大性が認められる場合、議会審議の投票を省略して法案を可決させられるというものだ。議会での十分な審議を経ずして政府が法案を可決成立させることができるという憲法がフランスには存在する。この適応には改革反対派だけでなく、一般市民も不快感を示し、議会では否決されたとはいえ、内閣不信任案の非難動議が出された。

もう1つは、マクロン氏が3月22日のテレビインタビューで「支持率が下がるのは覚悟のうえだった」と言いながらも、労組など反対運動をエスカレートさせる活動家について「反抗的な反逆者で受け入れるわけにはいかない」と好戦的な発言をしたことだ。これについて、フランス日刊紙ル・モンドはマクロン氏の上から目線の発言、反対派を「見下すような態度」を挑発的と評した。

不十分な議会審議のうえ、憲法を用いて一方的に法案を可決成立させ、なおかつ反対派を見下す態度を国のトップが取ったことが、国民の怒りに火をつけた。

誰もが抗議運動に共感してるわけではない

今回の年金改革反対運動の盛り上がりは世界に報道され、ゴミの未回収が観光大国に汚名を着せる結果となった。だが、フランス人の誰もが抗議運動に共感しているわけではない。

筆者の友人で夫はエールフランスのパイロット、妻は一流企業の管理職という夫婦は、春の長期休暇で3月中旬からモーリシャス共和国に2週間のバカンスに出かけた。コンサルティング大手に勤めるもう1人の友人は、エジプトにバカンスに出かけた。さらに小学校の教員の友人は、ストライキで学校が休校になる時期を見計らってイギリスに3泊4日で旅行している。

彼ら彼女に共通しているのは、「改革は理解できるが、政府のアプローチは間違っている」ということで「政策はおおむね支持できるのでバカンスを取った」と言っている。さらに「地下鉄や長距離電車が動かないので、まずは国外に出ることを選択した」と語った。

また、改革案には反対を表明しながらもデモには加わらないパリの路線バス運転手は「16歳から働いている人や肉体的に重労働の人たちへの配慮が足らない」「いかにも超エリート家庭で育ち金融機関で高給を取っていたマクロン氏の庶民感覚のなさが露呈した」と話す。一方で、「最近の抗議運動は暴力が目立つ。そんな運動には絶対参加したくない」とも言う。

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