中国人の私が帰化して新宿区議選に出る理由 「当選すれば、民主主義のない中国は大打撃」

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――それでも、外国人に拒否感を覚える日本人は少なくありません。李さんが考える共生とは、どんなイメージでしょうか。

一つ日本人に助言したいのは、「外国人にとってやさしい所は、日本人にとってもやさしい所になる」ということです。2011年の東日本大震災は、私にとってもショックでした。最もショックだったのは、余震や原発事故による放射能を心配して、中国人をはじめ外国人があっという間に帰国してしまい、しかもあまり戻ってこなかった。これは、彼らのように帰国してしまった人は、普段から日本人との関係が希薄であったことが大きな原因だと考えています。

なぜか。私は、少なくとも彼らよりは日本人を知っています。日本人と付き合って、日本人がどのような人たちかを理解しています。余震や放射能は確かに怖いかもしれないが、同じ場所に住んでいる日本人はとどまっている。彼らと普段から地域的な関係を持っていれば、また日本人との良好な関係があれば、帰国という拙速な行動をとることはなかったはずです。

外国人が住みやすい所は、日本人も住みやすい

だからこそ、私が彼らと日本人の間に立って、議員になれたらその地位を生かして橋渡しをしたい。互いに良好な関係を構築できれば、これは日本人にとってもよいことだと確信しています。そのためのルールづくりや交渉に、議員という仕事は有効なのだと考えています。

それは、外国人も日本で役に立ちたい。災害が発生したとき、逃げるのではなく、ボランティアなどで復旧活動をしたいと思う人がいます。地域での関係が密接であればあるほど、そんな気持ちが湧いてくる。そんな関係が東日本大震災でなかったことは非常に残念でなりません。

具体的な取り組みも、私はすでに考えています。日本の地域には神社などがあって、夏や秋にはお祭りがある。それに外国人も気軽に参加できるようにして、日本人と仲良くなってもらう。

防災訓練があれば、できるだけ参加してくれるように働きかける。そんな活動がどうなるか。これが、2020年の東京オリンピックのボランティアにつながるなど、高齢化・人口減を迎える日本にとって最大の武器になると思うのです。幸い、東京都にある日本語学校の3分の1が新宿区にあります。日本語を勉強する外国人は、少しでも上達の機会をつかもうと喜んで参加するでしょう。参加へのきっかけや後押しを、私はしてみたい。

私は中国系日本人として、日本人に言いたいことも、外国人に言いたいこともどちらとも話したいことを話せます。日本人がいるからこそ、外国人にとってもやさしい。外国人がいるからこそ、日本人にとってもやさしい。そんな関係を新宿区から構築できればと考えています。

李小牧=1960年中国湖南省生まれ。1975~81年、バレエダンサーや文芸誌記者として働く。88年に留学生として来日、1993年から「歌舞伎町案内人」、作家、レストランプロデューサーとして活動。2015年、日本国籍取得。著書に『歌舞伎町案内人』『歌舞伎町より愛を込めて』など多数。

 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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