本書は、スケールアップの科学をテーマにしている。失敗するアイデアがある一方で、世界を変えるアイデアがあるのはなぜなのか。アイデアの成功の確率を最大化するにはどうすればいいのか。
スケーラブルなアイデアに備わる5つの要素
成功と失敗は、運の問題ではない。アイデアが失敗するのか、成功するのかには理屈がある。アイデアにはスケーラブルだと予想できるものもあれば、スケーラブルでないと予想できるものもある。
スケーラブルだと見込めるアイデアを選んでスケールアップを図ったほうが、間違いなく幸運だし、効果をあげられるはずだ。
スケーラブルなアイデアは、なんらかの「万能な」特徴があり、「見逃せない」魅力を備えているとの見方が一般的だが、こうした考え方は根本的に間違っている。
規模を拡大してうまくいく可能性のあるアイデアと、そうでないアイデアを峻別する特別な決め手はない。
だが、スケーラブルなアイデアに備わっている特徴が五つある。わたしは、この主な特徴を「5つのバイタル・サイン」と呼んでいる。
そう呼ぶ理由は、スケールアップを図る前に、アイデアが生きているかどうかを見極める必要があるからだ。
わたしはそうした5つのバイタル・サインを特定した。
2、対象者を過大評価していないか
3、大規模には再現できない特殊要素はないか
4、ネガティブなスピルオーバーはないか
5、コストがかかりすぎないか
どれか一つに問題があれば、どんな才人であっても、アイデアをスケールアップすることはできない。
ウーバーのように成功していた企業も、アメリカ政府も(どの国の政府も)、意欲的な関係者も、どこか他所でうまくいったことは、どこでもうまくいくと思い込む間違いを犯す。その結果は重大な損失につながりかねない。
わたしは、悪いアイデアを取り除き、良いアイデアをスケールアップして、最大の効果を発揮したいと願う人たちにとって、具体的で段階を追ったガイドを提供することを目指している。
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