鉄道旅行の友「海外の小ホテル」今はこう泊まる 宿へ直接行って「今晩泊まれますか」は過去の話

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1980年代、ユーレイルパス片手に宿を探しながら旅をした(フランス)(筆者撮影)

筆者が海外鉄道旅行をはじめたのは1980年代、なかでも印象に残っているのは「ユーレイルパス」で回ったヨーロッパであろうか。1年オープンの航空券で帰国日も決めず、ヨーロッパ内乗り放題の鉄道パスで周遊した。ホテルは現地調達、駅周辺の安そうな宿を見つけて「今晩泊まれますか?」といった具合だった。観光案内所で紹介してもらう方法もあったが、手数料が必要なので、夜でもない限り直接宿に聞くのが手っ取り早かった。

「泊れなかったらどうする?」とも思われるが、当時「ユーレイルパス」は1等乗り放題で(正確には2等用がなかった)、夜行列車もたくさんあったので、いざとなれば車中泊でいいと思っていた。

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実際スイスのバーゼルでは安い宿が見つからず、アムステルダム行き夜行列車でドイツへ向かった。ところが1等コンパートメントは乗り心地がよく、目が覚めたらドイツを通り抜けてオランダへ入っていた。当時はシェンゲン協定施行前で、国境駅で入国審査官が列車に乗ってきてパスポートチェックがあったが、その審査官に起こされたのである。

しかし、ドイツへ戻ることはせず、急遽オランダの通貨だったギルダーに両替して、オランダを先に回ることにした。入国審査官に続くように、首から現金の入ったバッグをぶら下げた両替係が「Bank, Bank」と言いながら、車内で両替を行っており、当時の国際列車の風物詩のようなものであった。こんな気ままな旅をまたしたいものである。

宿泊費節約のために現地で探した

では、現代においてかつてのような気ままな旅は可能かというと、状況はかなり変わっている。宿泊施設は予約するのが基本となった。

インターネットが発達する以前は、日本で予約できる海外の宿泊施設は、一定以上のレベルの宿で、規模の小さい安い宿は予約できなかったので、宿泊費を抑えるには現地で探すしか方法がなかったのである。もちろん、気ままな旅ゆえに、日程など細かくは決めずに旅をしたかったのだが。

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