鉄道旅行の友「海外の小ホテル」今はこう泊まる 宿へ直接行って「今晩泊まれますか」は過去の話

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日本では路線バスや電動スクーターに乗り、宿も行き当たりばったりで探す旅番組が人気であるが、あれは日本だから成り立っているように感じる。強いて言えば、中華圏ではあまり人を減らしてまでの合理化は積極的には行っていないように思えるが。

小規模な宿は、部屋が10室、20室と少ない。もっと小規模な場合もある。すると、ネット予約が進んだ現在、1日に何人現れるか分からない突然の客のために、レセプションにスタッフを常駐させておくことなど不可能である。小規模なホテルが飲食店に隣接していて、経営者が同じまたは親族なのか、チェックインはその飲食店で行うということも多かった。この場合、宿泊施設そのものはアパートのようなつくりで、レセプションやロビーにあたる部分がない。

予約客以外は泊まれない

マレーシアではこんなことがあった。急遽ペナン島に宿泊することになり、現地で宿を探した。宿はすぐに見つかり、空室もあり、値段も手頃、レセプションには部屋の写真もあって問題なかったので泊まることにした。ところがスタッフは「予約がないと泊まれない」と言い出した。現金もクレジットカードもある。「空室があるんだから、泊まりたい」と言っても「予約」の一点張りで、スタッフは、そこに宿泊客用の共用パソコンがあるからそこから予約して欲しいというのである。

「予約サイトで予約したらホテルはそこへ手数料を払う必要があるので、私が直接ここで払ったほうがまるまる利益になっていいのでは?」とも話したが、「予約が必要」の答えは変わらなかった。結局、レセプションにいながら、自分のスマートフォンを使って、そのホテルをホテル予約サイトから予約し、そのサイトでクレジットカード番号を入れて支払いを完了したのである。するとスタッフはレセプションのパソコン画面を見て「はいはい予約が来ました」といって泊まることができた。

聞くと、スタッフは現金授受やクレジットカードの扱いをしないことになっていて、そのため予約なしの客は受けられないというのである。そのスタッフは、すでに予約している人や宿泊している客の対応だけが業務なのだ。私の接客中にも、「タオルをもう1枚欲しい」などの雑務をこなしていた。

「なぜこんなことに?」と感じたが、これならスタッフはそれこそ高校生アルバイトでも務まり、かなり合理的な運営だと感じた。

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