朝ドラ「舞いあがれ!」が最終週で未来を描く理由 「空」「飛ぶ」より重視した 「レジリエンス」の物語

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NHK連続テレビ小説「舞い上がれ!」
(画像:NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」公式サイト)

昨年10月3日にスタートした朝ドラ「舞いあがれ!」(NHK)がいよいよ最終週を迎えます。

ここまで「終盤までエンディングの形が想像できない」という朝ドラとしては異例の状態が続いてきましたが、ラスト1週になってようやくそのイメージが見えてきました。

24日の第121回では、短歌が作れずに悩む貴司(赤楚衛二)が八木(又吉直樹)のいるパリへ出発。しかし、その時期は2020年1月であり、最終週では緊急事態宣言が発出され、コロナ禍に突入します。

予告映像に「会いたい人に会えない。行きたい場所に行けない」という舞(福原遥)のナレーションがあったように、「舞や娘・歩と貴司が会えない」「五島とも行き来できない」「空飛ぶクルマの開発や有人飛行にも支障が出る」のは確実。これまで同様に最終週でも舞たちの逆境が描かれるようです。

さらに予告映像には、舞が空飛ぶクルマを操縦するカットがありました。ただ、ドラマではなく現実の日本では、空飛ぶクルマの開発を各社が進めている真っ最中。ドラマの舞台となっている大阪でも、「2025年の大阪・関西万博での飛行を目指している」という状況です。

つまり、舞が空飛ぶクルマを操縦するシーンは未来の話であり、「舞いあがれ!」は2023年の現在を越えて、それが実現する年まで描くということ。実際にドラマのラストは大阪・関西万博の2025年も越え、2027年を描くことが確実視されています(ちなみに、現実の東大阪で使われている「舞いあがれ 東大阪」のロゴマーク使用期限も2027年3月31日)。

では、なぜ「舞いあがれ!」は未来まで描こうとしているのでしょうか。それを掘り下げていくと、「今回の朝ドラで何を伝えたかったのか」という作り手たちの思いが浮かび上がってきます。

なぜ未来を描こうとしているのか

実は朝ドラのクライマックスで未来を描くのは「舞いあがれ!」だけではありません。2021年前期の「おかえりモネ」、2021年後期の「カムカムエヴリバディ」、2022年前期の「ちむどんどん」に続く4作連続なのです。

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