eスポーツ選手は「リアル世界」で通用するか? マツダのサーキット特訓で見えた驚くべき結果

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10代後半から30代前半までのeスポーツレーサーが実車でのトレーニングを受けた(写真:マツダ)

まさか、ここまでうまく走れてしまうとは……!

eスポーツというバーチャルでの経験が、リアルワールドで十分通用することを目の当たりにして心底驚いた。

マツダが茨城県の筑波サーキットで2023年2月(10名)と3月(9名)の合計2回、バーチャルとリアルをつなぐ珍しい試みを行った。MAZDA SPIRIT RACINGチャレンジプログラムの「REAL CIRCUIT EXPERIENCE」である。

マツダが昨年実施したeスポーツの大会、「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2022」のランキング上位者らが「ロードスター」ワンメイクレース仕様車を使い、1泊2日の充実した内容のプログラムをこなした。

REAL CIRCUIT EXPERIENCEの講師と参加者たち(写真:マツダ)

こうしたゲーム参加者とリアルなモータースポーツをつなぐシステムとしては、2008年から実施された「GTアカデミー by 日産×プレイステーション®」がある。選抜された選手が、日産のGTマシンで実際のレースに出場するという本格的なプログラムだ。

一方、マツダのプログラムは、「グラスルーツ(草の根)」と呼ばれる広い世代が参加可能なモータースポーツ体験へ、eスポーツ体験者を誘う仕組みとなっている。

2日間にわたるハイレベルなプログラム

今回のプログラムは、かなりタイトなスケジュールで実施された。初日は筑波サーキットの「コース1000」と呼ばれる、中低速コーナーがあるミニサーキットを使い、朝9時から夕方5時すぎまで行われたのだ。

午前中に基礎1(シフトダウン、ブレーキング、ステアリング操作)を行い、午後からは15分1セットでフルコースを周回。走行後に、データロガーで抽出したデータや車載カメラ映像などを講師と確認しながら自身の走りをチェックし、さらに仕上げとして12分1セットの走行を繰り返した。

実際のサーキットを繰り返し周回して実践した(写真:マツダ)

2日目は、舞台が4輪や2輪のレースが行われる「コース2000」へ。この日も、朝から夕方までみっちりとプログラムが組まれていた。午前中に25分セットを2回行い、その後に講師と振り返りを実施。午後は25分1セットを2回行ったのち、データと車載カメラ映像で講師と総括するという流れである。

最後に、講師や主催者側と面談を行って今回のプログラムの感想や、今後どのような形でモータースポーツに関わっていきたいかなどの聞き取りが行われた。なお、参加費用はすべてマツダ持ちだ。

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