震災「復旧」や「復興」を超えるビジョン「創新」が必要だ--後藤新平、カリフォルニア州サンタクルーズに学ぶ


脱「政局」、超党派での議論を至急進めるべき

さらに、後藤新平の「復興計画が政局で縮小された」ことにも留意する必要がある。
 
 後藤新平が総裁を務める帝都復興院は当初30億円の帝都復興計画を作成した。しかしながら、財政事情を優先する大蔵省との交渉で約10億円の要求に削減された。そして、その計画さえも帝都復興院と同時に設置された「帝都復興審議会」では大反対に遭い、5億円強まで圧縮されて議会に提出された。加えて議会で復興予算は2割カットされたのである。

なぜこのようなことになったのか。1つには超然内閣に対する帝都復興審議会委員の反感があったといわれている。
 
 帝都復興審議会には、高橋是清、加藤高明、伊東巳代治、渋沢栄一などが委員に名を連ねていたが、超然内閣における政策に関与できない委員たちの反発があったという。また、議会においても首都圏に予算配分が集中しすぎることへの懸念も存在したという(参考:越澤明『復興計画─幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで』)。

首都圏への予算配分に対する懸念は、当時の大阪毎日新聞を読むと理解できる。

「……殊に同会の最も難間と目すべきは衆議院の二大政党の首領即ち高橋、加藤両子の態度如何である……而して各政党は来年の総選挙を控えた今日地方の地盤擁護は最も大切な時期であることは言を待たない、後藤案と称せられるような尨大な計画を両党首領が鵜呑みにすることは蓋し最も難しとする所であろう」(大阪毎日新聞1923年9月22日 http://133.30.51.93/das/ContentViewServlet?METAID=10069100&TYPE=HTML_FILE&POS=1&LANG=JA)とある(ぜひ、全文を読んでもらいたい)。

総選挙を前に政治家は地方に予算を回さなければならず、帝都復興どころではなかった様子がうかがえよう。

さまざまな政治的思惑によって、後藤新平が構想した復興計画はかなり縮小されてしまった。今回の復興においても、党派の壁を乗り越え、政治が将来を見通して一致協力しなければこの国難を乗り越えることができないのは間違いないだろう。

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