「他人頼みの国が危ない」君主論が説く普遍の鉄則 逆境になれば防御力に欠け、何事も運任せになる
「傭兵」は内弁慶。敵の前では臆病
君主国の性質を検討するには、ある観点が必要である。何か起きたときに君主が自力でもちこたえられる国か、あるいは第三者の支援が必要になる国かという観点だ。
詳しくいえば、自力でもちこたえられる国とは、豊富な財力や人材によって適切な軍隊を備え、どんな侵略者とも一戦を交えることができる国だ。反対に、つねに第三者を必要とする国とは、戦場に出て敵と対峙することができず、城塞のなかに引きこもって防御する国を指す。
新しい国であれ、古くからある国であれ、すべての重要な基盤となるのは「よい法律」と「すぐれた軍隊」である。すぐれた軍隊のないところによい法律はなく、よい軍隊があるところによい法律がある。そこで、ここでは法律について論じることは省き、軍隊について語ることにしよう。
君主が国を守るための軍隊は、自国軍、傭兵軍、外国からの援軍、あるいは混成軍のいずれかだ。傭兵軍と外国からの援軍は役に立たず、危険である。傭兵軍を頼りにして国家を築いても、安定しないどころか安全も確保できないだろう。
というのも、傭兵は野心に満ち、規律を欠き、信頼できず、味方のなかでは勇敢に見えるが敵の前では臆病になり、神を恐れず、人間に対しては不誠実だからだ。傭兵の場合には、たんに攻撃を引き延ばしている間だけ敗北が引き延ばされているにすぎない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら