総合商社が「国内回帰」を鮮明にする真の事情 資源バブルの先に勝ち残る「5大商社」はどこか

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三井物産は今年2月には、約700億円を投じて国内給食大手のエームサービスを完全子会社化することを発表した。そこから派生するオフィスの「空間づくり」事業も、次の中期経営計画の中で進めていく。

少子高齢化、過疎化、人手不足などの課題が山積する日本市場に、なぜいま商社が投資を振り向けているのか。その理由は、資源高騰の宴の先を各社がすでに見据え始めていることにある。

総合商社は目下、資源市況の高騰を追い風に空前の好決算を謳歌している。三菱商事は今年2月、今2023年3月期の純利益が1兆1500億円となる見通しを発表した。従来計画では1兆0300億円になるとしていたが、製鉄用の原料炭価格などが想定より高く推移したことが効いた。

史上初の「純利益1兆円」超え

三井物産も鉄鉱石、LNG(液化天然ガス)市況が吹き上げ、2023年3月期は1兆0800億円の純利益を見込む。三菱商事、三井物産にとって過去最高純利益だが、商社全体を見ても純利益が1兆円の大台に乗るのは史上初だ。

足元では好決算に沸く総合商社にとって、課題となるのは次なる成長に向けた投資先だ。資源高で潤沢なキャッシュを得ているものの、各社とも大型投資ではなく、配当の上積みや自社株買いなどの株主還元へ振り向けている。野村證券の成田康浩アナリストは「(商社業界では)投資マネーはリスクが相対的に低く見えるところに向かいがちになっている」と指摘する。

現在、商社の悩みの種となっているのは海外の地政学リスクだ。

「あの案件だけは絶対に通せなかった」と、ある商社首脳が明かすのは台湾の洋上風力発電プロジェクト。2010年代後半に権益出資の話が浮上し日本の大手電力会社などがこれに飛びついたが、この商社はトップ判断で参画を見送った。台湾海峡の地政学リスクを読み切れないと判断したためだ。

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