餃子の雪松が「冷凍ラーメン」にも大胆挑戦する訳 「お店のラーメンを家庭で再現」は支持されるか

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インターネットが基本インフラとなり、情報収集が手軽にできるのも大きいようだ。さらに、さまざまな専門家に取材して感じるのが、家庭の食卓でも進む「個食化」だ。好きな味を楽しむ意識が、より高まってきた。

滑り出し好調だが、定着するか

餃子の次はラーメンだったので、新商品は「お食事処 雪松」の人気メニューから選んでいるのだろうか。

「それは今回意識せず、先ほど話した『冷凍食品で、お店で食べる味』を考えていった結果です。冷凍食品もどんどん進化しており、例えば炒飯は、かなり専門店の味に近くなりました。一方、焼き鳥は、専門店の味を冷凍で再現できたとはいえません」(高野内さん)

今回の冷凍ラーメンは、一般人が買って調理する動画も次々に投稿されており、SNSでの反響も総じて好意的なようだ。一方で「(3食1000円は)高い」という声もあるのは、カップ麺や袋麺との比較からだろう。

滑り出し好調というラーメンだが、これから暑くなる季節を迎えて、その伸びがどうなっていくか。

そしてマーケティングの世界では「新商品は2回目購入が本当の勝負」ともいわれる。消費者が新商品を気になって買うのは、ある意味では“ご祝儀”。本当に気に入って買うかどうかは2回目以降のリピート次第だからだ。

冷凍餃子に続いて冷凍ラーメンという“ふだんごはん”で攻める同社の取り組みが支持されるか。消費生活の視点からも注視していきたい。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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