農業だけじゃない 福島の製造業被災で世界の電池産業に影響も【地図で見る震災被害】
また、クレハのいわき事業所(いわき市)は設備に大きな被害はなかったものの、原燃料や物流の乱れで操業再開ができない状態。いわき事業所ではリチウムイオン電池の電極用バインダー(接着剤)を生産しており、この1拠点だけで世界シェア7割を誇っていた。「パソコンや携帯電話など向けのあらゆる電池メーカーが当社の顧客だった。現在、在庫数量を確認するなどした上で、顧客に足元の供給見通しを示すことに全力を挙げている」(クレハ広報・IR部)。
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経済産業省東北経済産業局の調査によると、このほかにも二次電池の評価検査装置を手掛ける東洋システム(いわき市)、アルカリ電池やニッケル水素電池などを生産する古河電池・いわき工場(同)、電池進出を計画していた日立原町電子工業の原町工場(南相馬市)などがある。また燃料電池関連でも、燃料電池自動車の周辺部材を手掛けるエイチワンの開発技術本部(郡山市)、燃料電池用のセラミックス素材を手掛ける福島セラミック(伊達市)などが立地している。
こういった事業所の被災状況を受けて、大和証券キャピタルマーケッツのアナリストであるプラナブ・サルマー氏(在香港)は「東日本大震災の影響としては、電子セクターではバッテリー分野のサプライチェーンが最も打撃を受ける」との見通しを示している。福島は鉱山開発が活発だったこと、災害が少なく水資源が豊富という工場進出に適した地理条件があったことから電池を中心とする工場集積が進んだが、それだけに今回の震災による被害は裾野の広いものになりそうだ。
(東洋経済オンライン)
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