農業だけじゃない 福島の製造業被災で世界の電池産業に影響も【地図で見る震災被害】
放射性物質の検出を受け一部野菜の出荷制限が決まるなど、大きな打撃を受けている福島県の農業。だが福島の地域経済立て直しには、製造業の被災状況も重視しなければならないだろう。特に電池関連の製造業などは、復旧状況次第では世界のサプライチェーンにも影響を与えかねないと懸念されている。
福島県によると、県内総生産9兆1360億円のうち、製造業は3兆1679億円と3割強を占める。業種別では最大分野で、農林水産業の1793億円を大きく上回っている(2007年の数値)。県の経済は製造業に大きく依存しているといってよい。また、東北6県でみても、福島県の製造品等出荷額は県別では最多。福島は東日本の代表的な工業集積地だったのだ。
この福島の製造業が、今回の震災で大きな痛手を受けた。中には世界のサプライチェーンにも大きな影響を及ぼしかねない被害もある。その典型例がリチウムイオン二次電池関連の事業所だ。
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郡山市にはソニーの完全子会社でリチウムイオン二次電池などを手掛けるソニーエナジー・デバイスの本社があるが、今回の震災で稼働停止をやむなくされた。電子業界でいち早くリチウムイオン二次電池の商用化にこぎ着けたソニーは、現在でも家電向けバッテリーでは世界上位のシェアを誇る。郡山はソニーの電池事業の最重要拠点であり、近年は自動車向けなど大型バッテリーへの本格参入を目指し、郡山に国内の電池技術者を集約し、事業強化を図っていたところだった。