ある程度の時間、お客様をお待たせすることになるときは、飲み物を出す気遣いも必要です。会社によっては、季節に関係なく来客用の飲み物を1種類しか用意していないところもあるでしょう。もし、いくつかの種類から選べるならば、その日の気温やお客様の好みに合わせてお出しするのが理想です。
お茶をお出しするときの「粗茶ですが」という言い回しは、現代には不向きでしょう。ペットボトルのお茶を用意しているところもあるでしょうし、市販のものを謙遜する必要はありません。
もしお客様が遠慮して飲まずにいるようなときは、「温かいうちにどうぞ」「氷がとけないうちに召し上がってください」といった声かけをしましょう。お待たせして申し訳ないという気持ちを、おもてなしの言葉とともに伝えると、待たされるストレスも幾分軽減します。
気遣いと労いの気持ちを言葉に乗せる
お客様がいらしたら、足を運んでくださったことへの感謝を伝えます。
「お越しいただき、ありがとうございます」でもいいのですが、大人の社交のシチュエーションでは「ご足労いただき、恐れ入ります」という言い回しを自然に使いこなしたいものです。
「ご足労いただく」は、「おいでいただく」「いらしていただく」とも同じ意味ですが、あえて熟語にすることでより改まった印象になります。
例えば、「忘れる」は「失念する」、「教えてください」は「ご教示ください」など、熟語の言いかえを知っておくといいでしょう。このような言葉は日常会話でなかなか使わないので、ビジネスの場で積極的に使うことで、言い慣れることが大切です。
来社を求めた日が雨や雪だった場合、それでも来てくださった相手には、感謝とともに労いの言葉をかけることも忘れてはなりません。「お足元の悪い中、ご足労いただき恐れ入ります」「お足元の悪い中、お呼び立ていたしまして恐れ入ります」と挨拶をします。
「お足元の悪い中」というフレーズは、ビジネス以外のプライベートシーンでも使うことがあります。結婚式やお通夜・葬儀の挨拶にも使われる、汎用性の高い言葉なので、大人のマナーとして覚えておきましょう。
わざわざご来社くださった方に対しては、「お寒い中」「お暑い中」など気候について、また「早朝から」「夜分遅くに」など時間帯について言及することで、気遣いや労いの気持ちを表します。「お忙しい中」「ご多忙のところ」は一般的な表現なので、“その日にわざわざ”という特別感がありません。気候や時間帯なら、“わざわざ”という気持ちが伝わりますね。
ちょっとした一言を添えるだけで、コミュニケーションが円滑になります。あるとないとでは相手の感じかたが大きく変わることを、肝に銘じましょう。
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