1945日本占領 徳本栄一郎著
モーツァルトの『魔笛』で知られ、陰謀説が語られたりもするフリーメイスンと日本占領の深層を解明した異色の書。実はマッカーサーとその下僚の多くがメイスンの幹部で、占領政策の根幹はその教義に基づいて行われていたとする。教義とは自由・平等・友愛であり、プロテスタントの地盤強化も重要な戦略の一環だった。マッカーサーのフィリピン撤退などメイスンの歴史的足跡に始まり、日本占領とともにGHQ、天皇、国際赤十字、バチカン、吉田茂、鳩山一郎、白洲次郎などが入り乱れての虚々実々、確執が主題となるに伴いがぜん、盛り上がる。
天皇制の存廃から天皇のメイスン入会、日本改造を目指した占領政策などにメイスン思想の影が色濃いことが浮き彫りされて興味深い。白洲をめぐる冷静な筆致にも好感が持てる。埋もれた1次資料、数少ない当事者の証言を求めて欧米を駆け巡った知恵と汗の結晶であり、
第一級のノンフィクションである。(純)
新潮社 1785円
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