迷惑行為で注目、回転ずし「直線型レーン」の実力 はま寿司は直線化で食材廃棄を年1000トン削減
廃棄量削減だけではなく、オペレーションの効率化にもつながる。通常、すしチェーンではネタや商品ごとに価格帯が分かれており、会計前に客が何円皿を何皿食べたか確認する必要がある。
一方、すべての注文がタブレット経由である場合、注文ごとに会計データが更新されるため、店員が皿数を確認する必要がなく、数え間違えるリスクも小さい。また「すしは新鮮な状態で、天ぷらなどのサイドメニューも熱々の状態で提供できることが最大のメリット」だと語る関係者も多い。
だが、すべての企業が直線型レーンに「一本化」しているわけではない。国内店舗数3位の「くら寿司」は全店舗で直線型レーンと回転レーンが併存している。担当者は「すしが流れていることが、回転ずし本来の楽しさ。だからうちは回し続ける」と語る。
くら寿司はカメラ運用変更で「回転」維持
同社は従来、客席上部にAI(人工知能)カメラを設置しており、回転レーンで流している商品も「どの商品がいつ取られたか」を把握している。今回の問題以後、カメラの運用を一部変更し、客の不審な動きも確認できるようにした。
「お客さんは食べたいものが回転レーンで流れてきたらすぐ取ることができ、流れていなくてもタブレットで注文できる。安全面さえ担保すれば、これが最も効率的だ」(くら寿司担当者)
別のすしチェーンの役員は「すしを回すことは広告宣伝の手段として有効」だと指摘する。皿がレーンで回っていないと、客は「自分が食べたいもの」を能動的にタブレットから選ぶ。すると他のネタよりも原価率が高いマグロやサーモンなど定番品の注文が増えがちになるという。
ネタを流して見せれば、客を利益率の高い高付加価値商品や期間限定品、サイドメニューへ誘導できる。こうした広告宣伝効果はレーン直線化で薄れてしまうため、「タブレットの表示や客席の装飾など、別のPR方法を導入することが不可欠だ」(同)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら