迷惑行為で注目、回転ずし「直線型レーン」の実力 はま寿司は直線化で食材廃棄を年1000トン削減

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【表】すしチェーン大手の直線型レーン導入状況

回転レーンに一定の広告宣伝効果があるとはいえ、業界ではレーンの直線化が主流になりつつある。国内店舗数2位の「はま寿司」は先述の廃棄削減効果を踏まえ、全国の店舗の9割で直線型レーンを導入済み。

外食大手コロワイド傘下の「かっぱ寿司」は省人化・非接触型の店舗モデルへの改装を目下積極化しているが、改装とあわせてレーンの直線化も実施。2022年度から年間50~60店を改装する計画で、同社全体の店舗数約300店と比べてもその規模は大きい。

はま寿司とかっぱ寿司は、開店して間もない店舗や、退店の可能性がある店舗などを除くほぼ全ての店舗で直線型レーンを導入する意向だ。こうした取り組みは市場からも評価されている。

「直線型レーン」導入は加速必至

はま寿司が導入を進める直線レーン。
はま寿司が導入を進める直線型レーン。卓上のタブレットで注文すると、レーンで商品が注文者に直接届く(写真:ゼンショーホールディングス)

ゼンショーHDは2022年6月、はま寿司の店舗における追加のレーン直線化や、既存の改装投資分の借り換えに要する約72億円を含む計100億円を、公募形式によるサステナビリティボンドで調達。日本格付研究所はこの資金使途に「大きな環境・社会改善効果がある」とし、最上位評価の格付けを行っている。

また、「回転派」だった企業の方針にも変化が見られる。

スシローは全店舗で回転レーンが残り、一部店舗で直線型の「専用レーン」が導入されているが、迷惑行為の被害後は運営方法を変更。専用レーンのない店舗では、客が注文した商品のみを回転レーンに流すようにした。専用レーン導入済みの店は、回転レーンで商品を流すこと自体をやめ、原則「専用レーン」での提供に切り替えた。

中堅の「すし銚子丸」は、「フードロス対策」および「迷惑行為への対策」として、回転レーンでの提供を4月26日までに全店で終了する。

スシローは今回の変更について、「今、私たちができる精いっぱいの取り組みだ。元に戻すかどうかも含めて、今後の方針に関してはまだ決まっていない」(F&LC広報)とした。

最大手のスシローの動向が注目されるが、フードロス対策の重要性は高まる一方だ。今回露呈した迷惑客リスクを下げるうえでも、業界全体として直線型レーンの導入は加速するだろう。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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