コロナで疲弊「上毛電鉄」挽回狙うツアーの中身 運転・車掌体験会やライトアップ撮影会を開催

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地域の鉄道は、利用促進や沿線地域を盛り上げるために、さまざまなイベントを行うことが多い。その中でも上電は、今までも沿線利用者とイベントを行っており、運転体験や撮影会などの鉄道愛好家向けのイベントだけではなく、沿線ハイキングや車内を装飾した風鈴電車、七夕電車などのデコトレインを運行している。

車内の飾り付けは、沿線の保育園や幼稚園、こども園などの子どもたちに協力してもらっているそうだ。休日には、その作品を見るために、家族みんなで乗車するとのこと。また、沿線の小学校や幼稚園、保育園、こども園の子どもたちに絵画を募集(上電うごくギャラリー児童絵画展)し、作品を列車内に掲出して審査を行い、表彰式には受賞者のほぼ全員の家族が出席しているそうだ。

子どもたちが大人になった頃、いい思い出となって、いつまでも上電の記憶が人生に寄り添うのではないだろうか。上電はそんな温かい鉄道事業者であり、赤城おろしのからっ風さえも温かくしてしまう。

地域鉄道をどう活性化させるか

新型コロナの影響が思っていた以上に長引き、地方を観光で訪れる人は激減した。事業者にとっては、まだまだトンネルは長い。今まで未開拓だった鉄道ファン向け有料撮影会や体験ツアーを通じて、今後どのような戦略で、鉄道、そして地域を維持し活性化していくのか。これを模索していくことになる。

筆者は今回のモニターツアー体験を通じて、地域鉄道のあり方を再認識させられた。「人の温かさ」と、おもてなしの心を持つ上電の沿線は、魅力的な場所が多い。しかし、「外から人を呼ぶ」と言うことを率先的に行わなければ、地方が抱える少子高齢化・人口減少に、歯止めはかからない。「新しい取り組み」「観光の顔を増やす」と言うことが、それを打破する一歩なのだと思う。

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渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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