コロナで疲弊「上毛電鉄」挽回狙うツアーの中身 運転・車掌体験会やライトアップ撮影会を開催

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滅多に体験できない貴重なライトアップ撮影だが、車両に当てる照明に、もうひと工夫が欲しかった。照明は、車両の正面を向いているのだが、側面側は暗く、光が当たっていないように感じる。光の演出がもう少し上手くいけば、このツアー企画の目玉になると感じるので、ぜひブラッシュアップしていただきたい。

最後は参加者たちが、それぞれに体験し感じたことを話した。印象的だったのは、在日台湾人の女性の「私は別に電車が好きではなかった。でも、古い電車に乗ったり色々な体験をして楽しかった、今日好きになった」と、話していた姿だ。

ほかにも、「正直、1回参加であればそれで良いが、2回目、3回目となると、値段設定が高いと思う。リピーター割引などを考えてほしい」という意見もあった。確かに、継続的にツアーに参加することも想定しなければならない。リピーターが増えれば上電にとっても、安定的な収入源になる。

気になるツアー料金は?

今回のツアー想定金額は、ライトアップ撮影会が2万5000円。デハ101の貸し切り乗車体験、700形+デキ3021の運転体験・車掌体験、大胡電車庫見学(ガイド付き)、お弁当やお土産、リバティりょうもう乗車運賃など含むが3万5000円である。最近の他事業者の鉄道愛好家向けツアーには5万円以上する高額なものもあるので、妥当な金額設定だと感じるが、これは個人の価値観なので、値段に見合うと思う人が多ければ成功であろう。

ただ、人気の鉄道車両を並べれば、マニアが来てお金が儲かる。というだけの考えでは、将来誰も来なくなるかもしれない。たとえば、車両を並べての撮影会、午前の部、午後の部とある場合、午前と午後では、日の当たり方が違う。午後の人は、同じ高い金額を払っているのにもかかわらず、逆光かもしれないのだ。

その場合、午後に来た人はがっかりして、二度と来ないであろう。高価な金額を設定するのであれば、撮影に最高の時間帯や、条件の時間だけで、開催するべきだと思う。高いお金を出してまで参加するファンを満足させるのは、非常に難しいことなのだ。

今回のツアーの準備には、旅行会社とイベント会社も関わった。上電からは19人、グローリーハイグレイス有限会社Spectrum事業部から4人、東武トップツアーズから2人が参加している。準備期間は約4カ月かかったという。それだけ、中身の濃い企画であった。

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