アメリカで増える「クジラの座礁」意外な真犯人 「貨物船との衝突」を示す証拠が次々と浮上

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昨年の12月以降、23頭のクジラがアメリカ東海岸に座礁している(写真:Andrew Seng/The New York Times)

まず、深刻な絶滅危惧種であるタイセイヨウセミクジラがバージニア州の海岸に打ち上げられた。次に、ザトウクジラがニュージャージー州の浜辺に漂着した。その後まもなくして、ミンククジラが朝の潮流に乗ってニューヨークのロッカウェイ半島に流れ着いた。

これは、2月のわずか1週間で起こったことだ。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、12月初旬以降、東海岸沿岸に漂着したクジラの死骸は、ニュージャージー州とニューヨーク州の12頭を含め、全部で23頭に及んでいる。総数はまだ例年より少ないとはいえ、連邦政府の科学者も憂慮するペースだ。

死骸の大半はザトウクジラだった。解剖調査からは、死因の多くが船との衝突である可能性が示されている。

科学者たちは、この死亡率の高さには思いがけない要因が絡んでいるのではないかと考えている。

エサの居場所と貨物船の航路が重なって…

1985年まで合法的に捕獲されていたザトウクジラは、大西洋や汚染のひどかったハドソン川などの支流を浄化する過去数十年にわたる努力のかいもあって、個体数の回復が進んでいる。そして、気候変動で海水温が上昇する中、クジラとクジラが好んで食べるメンハーデン(ニシンの一種)の生息域と捕食場は、多くの場合、より海岸に近い場所へと移動してきている。

その一方で、コロナ禍で加速したネット通販によって貨物船の記録的な急増に拍車がかかり、ニューヨーク州とニュージャージー州の港は昨年、アメリカで最も混雑する港となった。現在、商品の多くは以前よりもはるかに大型の船で運ばれるようになっている。棚から商品が消える店舗も現れるほどだったサプライチェーンの混乱を和らげるため、航路を変更した船もある。

こうした事情から、貨物船の進路に入り込んでしまうクジラが増えたようだ。

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