アメリカで増える「クジラの座礁」意外な真犯人 「貨物船との衝突」を示す証拠が次々と浮上
ニューヨーク市を拠点とするクジラ調査団体「ゴッサム・ホエール」の幹部、ポール・シースワーダは、「クジラがこうした水路にいるときは、衝突しないように祈るしかない」と言う。
この冬、クジラの座礁が相次いだタイミングは、マサチューセッツ州からバージニア州にかけて設置される、12カ所ほどの大型洋上風力発電所について事前作業が進められていた時期とも重なる。
そのため洋上風力発電反対派は、エネルギー会社が海底の地図を作るために使ったソナーや、海底の岩石標本採取を行ったときの騒音が、クジラの死亡につながった可能性を指摘している。ただNOAAと海産哺乳動物委員会は、それが事実であることを示す証拠はないとしている。
自らがマーキングしたクジラが…
2月13日にニュージャージー州マナスクアンで発見されたザトウクジラは、約1カ月前に漂着地から30マイル離れたラリタン湾で捕食していたことが確認されている。
その日も、ニュージャージー州ブリガンティンにある海産哺乳動物座礁センターでシーラ・ディーンの携帯電話が鳴った。死んだクジラが見つかると、たいてい彼女に電話がかかってくるのだ。
ディーンはアトランティックシティの有名な遊園地「スチール・ピア」でアシカやイルカの調教師として長年働いた後、1978年に同センターに入所した。そのディーンにとって、この数週間は特別に忙しかった。
翌朝、10人のボランティアチームと海岸に出かけたディーンが目にしたのは、かつて自らが「NYC0298」とマーキングしたクジラだった。