日経平均が一段高になるか大事な週がやってきた 日本株の「低PBR修正の動き」はバブルではない
では、東証が要望するように、PBRを継続的に上げるにはどうすればいいか。「PBR=ROE(株主資本利益率)×PER(株価収益率)」だから、「ROE=経営の効率性」や「PER=企業の成長期待」を上げればいいのだが、実はそれほど単純ではないのだ。
例えば、「ROE=当期純利益÷自己資本」で表される。確かに、自己株買いや消却はROEを改善させるかもしれないが、それだけで企業の成長期待が高まるわけではないからだ。
「株価修正エネルギー」は大きい
経済産業省の言葉を借りずとも、PBRを上げるためには短期的に利益が増えるだけではダメで、中長期の価値創造に対する市場の期待を上げることが必要だ。結局、株価上昇がなければ、いつまで経っても「割安ニッポン」のままで、日本市場は世界から見放されてしまう。
これは、旧東証2部市場やジャスダック市場に所属していた企業が多いスタンダード市場にとっても、もちろん他人事ではない。東証が低PBR改善案を示した1月末時点では、電気・ガス業(2社)、銀行(12社)の加重平均が0.3倍、鉄鋼(19社)、輸送用機器(37社)、倉庫・運輸関連業(20社)が0.4倍となるなど、低PBR銘柄がゴロゴロしていた。
どこまで低PBRの改善が進むかは、これからにかかっているが、今まで放置されていただけに、低PBR銘柄の「株価修正エネルギー」は大きい。市場関係者の多くが違和感を覚えた先週末の動きは、日本市場を取り巻くこれらのエネルギーが胎動し始めたと考えてもいいのではないか。
さて、今週(6~10日)は3月も第2週目となる。黒田東彦・現日本銀行総裁下での最後の金融政策決定会合(9~10日)や「メジャーSQ」(先物とオプション両方の特別精算指数算出日、10日)もある。
一方、10日にアメリカでは2月雇用統計が発表となる。市場に「耐性ができた」と見ているが、それが本物かどうか試される中身の濃い1週間になりそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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