大打撃の外食「客が戻る・戻らない」店の決定的差 病み上がりの外食産業を襲う食品の価格高騰

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主要上場企業45社の四半期直近決算を抽出して、前期と比較してみると、44社が増収となっており、また営業赤字は前期26社から16社へと減った。ファミリーレストラン、ディナーレストラン、居酒屋業態を中心とした企業には赤字企業が多いが、業界全体として回復基調にあることは間違いないだろう。

病み上がりの外食産業を襲う価格高騰

ディナー、アルコール関連での需要にも影響する、首都圏人流の動向を表すJR東日本の在来線の旅客輸送量(コロナ前比較値)を見ると、2023年3月期では第1四半期79.6%、第2四半期76.3%、第3四半期85.1%と徐々に回復しつつあり、2023年3月末では95%まで戻るという予測値を示している(JR東日本決算説明資料)。

併せて、コロナの扱いが「5類」に変わって、感染動向による行動規制がなくなることで、ディナー需要に関しての制約はかなり改善する。これまでは会社員、公務員などビジネスパーソンについては、職場でのクラスター等発生を回避するため、大人数での宴会、部署内宴会などを、制限していた組織は多く、これは昨年末の宴会需要が戻らなかった要因でもあろう。

これらの行動規制が実質なくなることで、ディナー系需要も本格的な回復に向かうことが期待できる環境が整うはずだった。しかし今、コロナ禍という災厄から病み上がりの外食産業に、次なる災厄が迫っている。食料、エネルギーを中心とした価格高騰が、回復の兆しを見せていた外食需要に冷や水をあびせつつあるからだ。

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