大打撃の外食「客が戻る・戻らない」店の決定的差 病み上がりの外食産業を襲う食品の価格高騰
さらにどのような人が来店抑制したのかを推測できるデータもある。総務省「家計調査」では、所得階層を5つ(調査母集団を人数で5等分し、所得が低いほうから1~5階層としている)に分けて、項目別に支出の動向を見ることができる。
外食支出は、2022年9月にはそれまでの落ち込みの反動からプラスとなっていたが、10月以降は所得が少ない層から落ち込みの傾向が顕著になっている。高所得層(5階層)に関してはプラスを維持して10月以降も増加基調が続いている。
関連して、中食についてみてみると、所得層にはあまり関係なく若干増加という傾向になっている。これらの結果を見る限り、外食に関しては所得の少ない層は、必需支出項目の高騰の影響から、節約モードに入って、支出を抑える傾向が顕著になっているが、高所得者層においては値上がりによる影響は見られない。
中食については増加傾向が続いており、所得の少ない層における外食支出を代替しつつある、といったことも考えられる。今後さらに賃上げなき価格上昇がさらに進むようなら、2階層、3階層へも外食支出を控える動きが拡大していく可能性がある。現時点では大企業の賃上げは少しずつ実現しているようだが、中小企業に関しては、その大多数が賃上げ余力はないと報じられている。
対応が素早い「すかいらーく」
各外食企業の顧客層がどのような所得階層か、を公表したデータはないため、われわれにはこれから各社にどのような影響が出るかを予想できない。しかし、外食企業として自社の顧客層の所得階層を把握しているのであれば、顧客のロイヤリティを加味しつつ、物価上昇の進行度合いに応じたシミュレーションが可能だろう。
コロナ禍という一難が去りつつあるが、次の一難も経営を揺るがすような影響となる可能性があり、自社への影響を予測しておく必要があるはずだ。すかいらーくは、「インフレの加速による生活防衛意識の高まり」等を織り込んで、100店舗の閉店をかなり前に決定していたが、こうしたシミュレーションを踏まえた素早い対応なのだろう。社名である「すかいらーく」という店名が残っていないほど業態を変化させて、老舗大手として存在感を維持し続ける会社の危機対応に学ぶべきところは多い。
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