自分の「強み」と「弱み」知ることで何が変わるか 鳥谷敬氏が語る「移籍で知った強さと弱さ」
例えば、代打や代走で試合途中から出場することの難しさを知ると同時に、かつてはなにも考えず、「あたりまえだ」と感じていたスタメンで出続けることの大変さ、偉大さを再認識することにもなった。
例えば、二軍の過酷な環境を経験することで、育成枠から支配下枠を勝ち取るために懸命に努力している若い選手たちの必死さを知ることになると同時に、一軍の華やかな舞台の価値やすごさを再確認することにもなった。
自分の弱さと強さを知る
また、マリーンズに移籍したことで、タイガースとのチームカラーの違いを痛感し、セ・リーグとパ・リーグの違いも自分の身で体験する機会に恵まれた。
タイガースの場合、グラウンド上はもちろん、グラウンド外のプライベートなことまで、一挙手一投足のすべてが注目され、ニュース記事となっていた。そのため、球団広報の仕事は「いかにメディア制限をするか?」ということが重視されていた。
一方のマリーンズの場合は、ZOZOマリンスタジアムを訪れる熱狂的なファンはたくさんいるものの、メディアからの注目度はそれほど高くはなく、自分たちから積極的に情報発信することを求められた。したがって、球団広報の役割は「いかにメディアにアピールするか?」ということをつねに意識していた。
マリーンズの広報は、かつてスポーツ新聞記者でタイガース担当の人間だった。マリーンズ移籍後、この広報からさまざまなメディア対応を求められたけれど、いずれもタイガース時代は経験したことのないものだった。
こうしたいろいろな経験をしたことで、それまで感じることのなかった「自分の弱さ」を知り、同時に「自分の強さ」を知ることになった。
自分で感じた、「鳥谷敬の弱さと強さ」とは、例えばこういうことだ。
わたしは子どもの頃から練習が嫌いで、高校時代はいつも「なんとかしてラクができないかな?」と考えているタイプだった。だからこそ、タイガースのように「つねに注目を浴びている」チームは最適だった。
マスコミからも、ファンの人からもつねに衆人環視されていれば、決してラクをしたり、手を抜いたりはできない。結果的にそれが自分を律することとなった。
こうした経験を経て、わたしの場合は自分自身でモチベーションを上げたり、プレッシャーを上手に活用したりすることが得意ではないことに気がついた。
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