「奇跡の美声」King Gnu井口理がさらけ出す心の中 歌うこと、演じること、そして自意識の解放

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(C) 2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会

役者に関しては音楽を頑張ってきたからこそ、チャンスが巡ってきたと自覚している。

今作のススメを演じるまでは、「自分は役者には向いていないんじゃないか」と葛藤していた。今回、俳優としてさまざまな感情と向き合った日々を経験して、「ようやくスタートラインに立てた」と語る。

そんな井口にとって、表現者として最高に高揚感を感じる瞬間とは。

「僕が表現者として悔いを残している時は、全てをさらけ出せなかった時なんです。中途半端な表現をした時って、やっぱり伝わらないんです。今はSNSなどでダイレクトに反応がわかったりもします。だからこそ、全てを出しきった先で人の心に届いたと手応えを感じ取れたときは、表現者として高揚感を感じる瞬間ですね」

それは、アーティストでも役者でも共通して言えることなのか。

「そうですね。元々、自分は自意識を駆り立てられているタイプの人間。そこから解放されて、100パーセントの自分で表現しきれた時は特別な力が宿る瞬間だったりします。 だから、最近は素直でいたいなっていう気持ちがすごく強いんです。飾らない自分の表現を出した時に、それが届いたら嬉しいじゃないですか。そこは、意識していますね」

「迷いの多かった20代」を経て・・・

井口は、今年30歳を迎える。20代の日々は、King Gnuとして東京ドームライブを成功させ、俳優業でも初の主演映画など華々しい活躍をみせた。

30代となる井口は、表現者としてどんなスタンスで活動していくのだろうか。

(写真:長田慶)

「周りはどう見ているかわかりませんが、すごく迷いの多い20代でいろいろと手を伸ばした10年間だったんです。

だからこそ、30代は雨降って地が固まるじゃないですけど、自分の足元ぐらいは丁寧に固めていきたい。もう少し選び取っていきながら、自分のやりたいことを掴んでいくというか。それを慎重に選んでいくことが30代の目標かもしれないですね。

“丁寧で慎重に”をテーマに置きながら、表現者としての道を歩んでいければと思います」

池田 鉄平 ライター・編集者

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いけだ てっぺい / Teppei Ikeda

Jリーグ、国内、外資系のスポーツメーカー勤務を経て、ウェブメディアを中心に活動。音楽一家で育ち、アーティストとしてインディーズでアルバムリリースも経験。スポーツ、音楽、エンタメを中心に取材活動を行っている。

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