「"桃鉄"を教育で活用」発案者が語るゲームの凄み 「子どものゲーム」に悩む親に欠けている視点

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このとき、僕はマインクラフト(ブロックを設置して、冒険に行くゲーム)と授業を掛け合わたものを発表したのですが、改めてメイドインジャパンの教育を作りたいと思ったんです。何がいいだろう、と思い巡らせたときに、やはりゲームかアニメがいいな、と。

アニメもいいけど、自分で相性がいいのはゲームのほうだ、と考えたとき、メイドインジャパンのゲームで有名なもの、しかも教育に展開できそうなものは何だろう、と考えたときに最初に思いついたのが「桃鉄」だったんです。

ダメもとで原作者の方に連絡したのですが、快諾いただけて。そこからコナミさんから連絡が来たのが、2020年1月。なので、着想から開発、リリースまで約3年ぐらいかかった感じです。

無償提供に踏み切れた訳

「桃太郎電鉄」は、1988年の第1作発売以来、30年以上にわたり幅広い世代に楽しまれている(画像:コナミデジタルエンタテインメント プレスリリース)

──最初から学校へは無償提供が条件だったんですか?

いえ、そこらあたりの細かいことは何も決まっていませんでした。まずは作ってみて、それからどうやって広めていくか考えよう、という感じでした。ところが、幸か不幸か、コロナになって、「GIGAスクール構想」が始まり、1人1台のデバイスが全小中学生に配られた。

結果的に、みんなが「桃鉄」をするチャンスが増えたよね、と捉えることができたんです。販売することもできたと思いますが、僕自身は無償以外選択肢はないと思っていました。例えば1人10円や100円であっても、学校は有償になるとハードルがすごく高くなることはわかっていたので。

授業時間や内容に合わせて、「北海道」から「九州・沖縄」までの7地域、および「全国」の8つを選択してプレーできる(画像:コナミデジタルエンタテインメント プレスリリース)

──教育版になって何か工夫したところはあるのですか?

僕自身が現場の人間だからわかることなんですけど、このコンテンツを長生きさせようと思うと、無駄な味付けをしちゃいけないと思っていました。多分、開発側としてはゲームに沿った指導案を作ったり、いろいろな味付けをしたかったと思うんですよ。

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