「痛風」はなぜ痛い?肥満による若い患者が急増 「尿酸値は高いが、症状ないから大丈夫」の誤解
血管への影響も深刻だ。尿酸の結晶は針のような形をしているため、血管内は徐々に傷つけられていく。
「もっとも大きな問題は腎臓の機能低下です。慢性腎臓病になると、人工透析が必要になり、日常生活に大きな影響が出てしまいます。痛風後に心血管疾患(急性心筋梗塞と脳卒中)のリスクが高くなるという調査結果もあります」(大山医師)
命にかかわる病気の引き金に
高尿酸血症は高血圧や糖尿病、脂質異常症などと同じ「生活習慣病」で、命にかかわる病気の引き金になる。まだ発作がなくても、尿酸値が高いなら積極的に病院を受診してほしい。
治療は生活改善と薬物療法が基本だ。薬による治療が検討されるのは尿酸値8・0ミリグラム/dL以上で、一定期間6・0ミリグラム/dL以下を維持するのが目標となる。
「できた結晶は、尿酸値が6・0ミリグラム/dL以下にならないと溶けてなくなりません」(同)
締めくくりにあたり、発作が起きたときの対処法として、大山医師のアドバイスを紹介する。
・横になるときは患部を心臓より高い位置に
・患部を冷やす。入浴はシャワー程度にする
・一時しのぎとして鎮痛剤を服用してもいい
これらで様子をみて、歩ける程度まで痛みが弱くなったタイミングで病院に行く。痛みが引かないときも受診したい。
そしてなにより重要なのは「発作後」だと、両医師は口をそろえる。
「治療は痛みが治まったところからが本番。自覚症状がなくなっても、きちんと尿酸値を下げて、その後も管理していくことが大切です」
(文・伊波達也)
※週刊朝日2023年3月3日号より
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