都内と並び、外国人観光客に人気が高いエリアである横浜。この地でも、昨年までと比べると明らかな変化が見られた。横浜市内を中心に独自の観光プランなどを打ち出す三和交通の広報担当者によれば、やはり観光客増加による影響は顕在化しているという。
「都心部と比べれば少ないかもしれませんが、通常利用での外国人の利用は以前より増えていることは間違いないです。さらに観光タクシーの利用は、既にコロナ前と同じところまで来ています。昨年11月頃よりホテル利用者からのお申し込みが増えており、アプリ配車の数も2019年と比べると倍以上になっていますね」
そんな背景もあってか、1台あたりの売り上げは大幅に伸びた。ただし、地域や業界全体でみると総売り上げは減っているジレンマもある。担当者が続ける。
「稼働台数あたりの1日の売り上げは、実に15%以上も上がっています。都心部に近づくほど、この数字はさらに上がる。それでも稼働台数が減っているため、タクシー業界全体の総売り上げは年々減少していますね」
横浜ではタイ・ベトナム観光客が増加
ベイエリア辺りを散策すると、観光客のタクシー利用の増加は実感できる。大阪や東京といった都市との大きな違いは、コロナ前でも中国人に傾倒しすぎていたわけではないということだ。ドライバーたちに話を聞いても、以前は欧米系や韓国、東南アジアとかなり幅広い国の利用者が目立ったという。しかし、昨年末からは東南アジアからの訪日客の乗車率が目に見えて高くなった。桜木町で拾ったタクシードイラバーの山本さん(仮名・60代)は、こんな分析をした。
「タイとベトナム観光客の経済力に、この辺りのドライバーはみんな助けられているんじゃないかな(笑)。日本人ビジネス客の方なんかを乗せても、ホテル代が高くなりすぎて困っていると嘆かれますが、東南アジアからの宿泊者増の影響を強く感じますよ。実際に高級ホテルから新横浜や羽田空港、という送迎が増えておりかなり助かっています。彼らは中国人観光客の方より乗車マナーもいいので、私たちからすると上客ですよ」
インバウンド客の戻りは、街に少しずつ還元されつつある。その一方タクシー業界では、内的な要因からまだまだ恩恵を享受しきれていない実情も見え隠れした。全国各地では、手探りで適切なバランスを模索していく状況がしばらく続きそうだ。
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