国産ゴジラ、「庵野総監督」はアリかナシか "アニメ界の巨匠"起用で高まる期待と不安

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アニメ界の巨匠・庵野氏は、特撮にも造詣が深い。彼のアニメ作品にはゴジラやウルトラマンから着想を得た映像表現が多数登場するし、2012年には、自らが「館長」となった「特撮博物館」が東京都現代美術館で公開されている。

この展示会では、庵野氏が脚本を書き、樋口氏が監督を務めた短編映画『巨神兵東京に現わる』が公開された。ミニチュアなどの特撮技術で制作された同作は、CGを一切使用しないという制約条件にもかかわらず、リアリティを超えて恐怖すら感じさせるほど、大迫力の映像作品となった。

庵野氏が東宝のホームページ上に公開したコメントによれば、東宝から監督として打診があったのは、2013年1月末。『巨神兵』の成功が庵野氏起用のきっかけになったことは、東宝も認めている。

何より、本家である東宝としては、2014年公開のフルCG制作によるハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』に負けるわけにはいかない。日本版ゴジラも世界で通用する作品を目指すとしたら、海外でも知名度があり、特撮を知り尽くした庵野氏を起用したのは、ある意味、当然の選択だったと思える。

長編実写映画では苦戦

画像を拡大
新宿東宝ビルに製作中の「ゴジラヘッド」は、4月17日にお披露目される予定だ(TM&ⒸTOHO CO., LTD.)

「庵野ゴジラ」への期待は高まる一方だが、懸念材料も少なくない。

まず第1に、アニメではヒットメーカーの庵野氏だが、実写映画では『キューティハニー』(2004年)の興行収入が4億円にとどまるなど、目立った成功作品がないという点だ。

庵野流の作風の魅力が長編実写映画では発揮しきれない可能性がある。ただ、樋口氏が監督として支えることで、この点は解決できるかもしれない。

第2に、日本でゴジラがどこまでヒットするかという点である。1998年制作のハリウッド版『GODZILLA』は、ゴジラの造型がファンの期待とかけ離れていたことから酷評されたものの、世界での興行収入は3.79億ドル(約450億円、1ドル=130円で計算)を記録した。このうち、日本国内の配給収入は30億円。興行収入に直せば、60億円程度を稼いだことになる。

次ページ現在のゴジラ人気はどうなのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事