「MARCH」と大学を括る人が知らない偏差値の本質 茂木氏の問題提起から偏差値の扱いを考える
大学の数学教員で、上記の改訂を詳しく知っている者は少ないだろう。さらに、今後の理系学部の入試科目としても、数学Iから数学Cまで全部を必須にする大学は多くないと考える。
政府の教育未来創造会議が理系分野を専攻する大学生の割合を現在の35%から50%に増やす目標を掲げたのを受けて、関係省庁はその方向で具体的行動に移り始めたが、高校数学のカリキュラムと大学入試数学科目と大学での数学授業のつながりを速やかに見直すべきであろう。
現在の高校数学カリキュラムにない重要な要素
もう1つは線形代数の学びである。現在の大学数学の基礎として微分積分と並んで学ぶ線形代数は、実は戦後から始まったものである。現在の高校数学カリキュラムにある数学IIIでも、微分積分はそれなりに学んでいる。一方、線形代数に関しては、上記リストにも載せたように2行2列の行列の学びも現在の高校数学にはない。困ったことにデータサイエンスの専門家の方々も、この事実はあまり知らないようである。
線形代数に関しては、大学数学で一からきちんと学ぶことになるだろうが、従来の正規分布のような確率分布の学びとは異なる多変量解析の学びが、データサイエンスの準備としては非常に大切である。多変量解析は線形代数を基礎としており、とくに分散共分散行列の固有値というものに関する性質の解説が、従来の線形代数のテキストにはあまり見当たらないという指摘を、何人ものデータサイエンスの専門家から聞かされていた。
拙著『新体系・大学数学入門の教科書(下)』では、その指摘を十分に鑑みて固有値に関してはとくに詳しく執筆させていただいた。ここに、そのようなご意見を述べていただいた方々に感謝すると同時に、線形代数をこれから学ぶ方々には、単に行列や行列式の計算練習だけで終わらせるのではなく、固有値が重要であるという気持ちをもって学んでいただきたい。
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