中国の偵察気球が日本にも米国にも厄介な理由 北ミサイル、米にとっての脅威が増したとの見方

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松山キャスター:米国は気球について「中国が偵察用に使っていた」と主張している。香田氏は将来的な「武器化」の可能性を指摘している。

気球“武器化”の懸念は?

櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長):2015年だったと思うが、中国は戦略支援部隊という新しい部隊をつくった。中国人民解放軍の雑誌「解放軍報」に、大きく分けて三つの役割が書かれていた。サイバー、偵察衛星、宇宙戦略部隊もこの中に入るということだった。これはのちに習近平国家主席が言った軍民融合の組織だ。

彼らは民間用の気象情報(の収集)と言ったが、中国では気象衛星は中央軍事委員会が所管する。まさに軍事のためのバルーンだった。基本構造として、中国の法体系としても中国共産党の決定としても、最初から軍事目的ということは打ち立てられている。香田氏の指摘はそのとおりだ。 

(画像:FNNプライムオンライン)

佐藤氏:それ(軍事目的)はもう明確だ。「非対象戦」と言われるが、米国が得意でない分野、深海、成層圏や中間圏といわれる高高度の上空の部分、ここに何らかの武器を置きたいという(中国側の)思惑は前からあって、高高度の気球は低すぎず、高すぎずという点で非常に有効だ。

人工衛星と違い、一箇所に長くとどまることができる。衛星より通信傍受に優れている。移動スピードが遅いがゆえにレーダーに映りにくい。気球を使ってミサイル攻撃のための情報を得ることもできる。通信妨害、ジャミングもできる。気球を武器として使うエリアとしては、高高度の成層圏、あるいは中間圏というのは軍事的にも非常に大事なエリアだ。 

櫻井氏:米国もそうだが、中国は高層圏の風の流れの地球マップを完璧に作っていると言われている。どこのエリアで、どの高度に気球を乗せるかによって風の流れでこっちに行くとか、あっちに行くとか、あっちに行かせたい時には高度を少し下げたり、上げたりということをしているわけだ。

国家基本問題研究所の奈良林直氏という原子力の専門家が言っていたが、今回の中国の気球は恐らく二重構造になっているだろうと。大きな外側の気球の内側にヘリウムがたくさん入っている小さな気球があり、コンプレッサーでヘリウムを出し入れすることで、高度を変えて乗せたい風の流れに乗せる。ヘリウムが外側の大きな気球から出ることはなく、循環させるので非常に長い時間飛び続けることができるという。

彼らは今回、おおよそのルートを全部計算して米国の軍事施設の上空を飛んだのだろう。また、南シナ海から日本の上空に飛ばす時は、必ず台湾の上を通っている。彼らは非常に戦略的に戦術的にもよく考えてやっているなと思う。

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