南海ラピート、「超奇抜」デザインが放つ存在感 レトロフューチャーな「顔」の裏には何がある?

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ただでさえ異彩を放つ外観だが、車体ラッピングで話題を呼ぶことがしばしばある。例えば2014年にはアニメ『機動戦士ガンダムUC』の「ネオ・ジオンバージョン」や、ピーチ・アビエーションの機体カラーに。2015年には『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で黒をまとうコラボ企画を展開した。また海外では2019年、台湾鉄路管理局(台鉄)の電気機関車2両にラピートブルーの特別ラッピングが施された。

国際空港のアクセスを担うだけに、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃、運休も余儀なくされた。一方、これまでにない活躍も見せるようになる。2020年12月と翌月には貸し切り列車として高野線の橋本駅に入線した。

泉北高速線内を走る南海50000系ラピート
泉北ライナーの運用のために和泉中央駅に入線するラピート(記者撮影)

また、2022年11月から当面の間、通勤・帰宅時間帯になんばと和泉中央を結ぶ泉北高速鉄道線の特急「泉北ライナー」の運用の一部に充てられている。泉北ライナーではスーパーシートにもレギュラーシートと同じ520円で乗車できる。

ベテラン社員「南海の顔」

ラピートをよく知る南海のベテラン社員にとってはどんな存在なのだろうか。前照灯のLED化や座席の更新に携わった同社運輸車両部の課長補佐、泰中直樹さんは「南海は知らんけど、ラピートは知っているという人もいる。やっぱり『南海の顔』」と話す。

運輸車両部住ノ江検車区長の長尾英明さんは「形状が独特な前面のガラスなどは足場がなく作業がしづらいうえ、車内は部品点数が多いのでとくにメンテナンスには手間がかかる」と明かす。

が、その一方で「子供さんにも人気がある看板列車。ラピートを整備していることは自慢になる」と語る。技術主任の奥野匡弘さんも「当社には新造車もあるが、注目はラピートにいってしまうくらいインパクトのある車両。整備に手がかかる分、しっかり仕事をしてくれている」と口をそろえる。

正面から見て人の顔でいえば”ほっぺた”に当たる運転席の半球状の下部分。その内部は「窓拭器(ワイパー)のモーターが入っているほかは、ほとんど“がらんどう”」(奥野さん)。さらにその下の鳥のくちばしのように突き出たスカートの先には連結器が格納されている。車体は全鋼製だが連結器のカバーはアルミ製という。

真正面から見た「ラピート」
真正面から見ても独特なデザインだ(記者撮影)
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