南海ラピート、「超奇抜」デザインが放つ存在感 レトロフューチャーな「顔」の裏には何がある?

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ラピートは6両編成が6本製造された。「レトロフューチャー」をコンセプトにし「スピード感と力強さ」を表現したという独特のフォルムが特徴だ。先頭部の運転台周辺は球体となっていて縦に通る“鼻筋”が目を引く。前照灯や尾灯は少し後方で運転席を囲むように配置されている。

空と海をイメージしたブルーマイカの車体色は「ラピートブルー」といい、塗料に雲母が含まれているという。側面の窓のほか、車内にもいたるところに楕円形を用いた。

南海ラピート50000系 側面の楕円形窓
空や周りの景色が映り込むブルーの車体側面に楕円形の窓が並ぶ(記者撮影)

車両の計画にあたっては都市計画家の小田靖弘氏がプランナーとして参加、車両デザインは建築家の若林広幸氏が担当した。

南海電鉄が制作した「コンセプトブック」の中で、空港特急デザイン開発委員会の久保勇委員長(同社専務、当時)は「南海電鉄の企業イメージを牽引するべき存在であると同時に、世界にはばたく関西の新しい発展にふさわしい車両でなくてはならないとの決意を掲げて計画を推進」してきたと説明。そのうえで「車両デザインそのものも重要なサービスの一環」との考えを強調した。

1995年の鉄道友の会「ブルーリボン賞」に選ばれた。同会は「鉄道にあまり興味のない一般の人々にも強烈な印象を与えるこの車両は、鉄道に興味を持つ当会会員にも当然強いインパクトを与え、大きく評価されたようで、他に大差をつけての得票結果」と受賞理由を説明している。

車内も独特の雰囲気

海上空港である関空から大阪市内に向かう列車の場合、最高速度時速120kmの空港線の連絡橋で対岸のりんくうタウンへ。泉佐野から南海本線に入り、大きな楕円の車窓から通天閣を望むと終点のなんばに到着する。

座席は2クラス制で、2+2の4列配置となったレギュラーシートに加え、なんば寄りの先頭から2両、6号車と5号車は1+2の3列配置のスーパーシートとなっている。「ヒョウ柄」のような座席のデザインが大阪らしさを思わせる。プラグドアの乗降扉は各車両片側に1カ所ずつ設けられていて、なんば行きの場合「奇数号車は前、偶数号車は後ろ」と案内される。

車内の頭上の荷物棚は、飛行機のような蓋が閉められるハットラック。大型のキャリーバッグなどは客室出入り口のスペースに鍵をかけて置いておくことができる。

南海ラピート50000系 レギュラーシート車内
レギュラーシートの車内。大きな窓と蓋が付いた荷物棚がユニーク(記者撮影)

ラピートの運用には「α(アルファ)」と「β(ベータ)」がある。デビュー当時は「ラピートα」が関西空港―なんば間をノンストップで走っていた。現在はりんくうタウンと泉佐野、天下茶屋、新今宮に停車して最短34分で結ぶ。天下茶屋で阪急千里線・京都線と相互直通運転をする地下鉄堺筋線、新今宮でJR大阪環状線と乗り換えができる。βは岸和田と堺にも停車し、通勤・帰宅時間帯などの着席需要に対応している。

料金はレギュラーシートが大人520円、子供260円。泉佐野―関西空港間に限っては大人100円、子供50円で乗車できる。スーパーシートは全区間大人730円、子供470円だ。

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