「いい会社」に共通している日本的経営観の中身 「理念と経営の言行一致」は終わりなき旅路

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ブランディングは志が伴う必要がある(写真:takeuchi masato/PIXTA)

ブランディングというと、「企業や商品のイメージアップ」のための施策と考える人も多いかもしれません。しかし、ブランディングの本質は「志を明確にすること」です。本稿では、『なんのために経営するのか -社員と会社の志を叶え合い、社会をよくする組織と事業のつくり方-』を一部抜粋・編集のうえ、企業の軸となる「志」を企業活動の細部にまで浸透させるための「3つのステップ」について解説します。

愛されて長く続く企業のキーワードは「志」

誰もが知っているような有名企業ではないけれど、お客様からも社員からも愛され、業界内では一目置かれているような企業が、日本にはたくさんあります。

そういった企業は、パンデミックのような大きな変化があっても揺るぎなく、安定した経営を続けています。

私たちは、280社以上の事業のブランディングを手がけてきましたが、そんな「いい会社」に共通するキーワードは「志」だと感じます。自分たちらしい強みを活かして人や社会の役に立ちたいという志を掲げ、ぶれずに、着実に、未来に向かって歩んでいる方々ばかりです。

ところで、「ブランディング」とはどのような活動だと思いますか?

普段、セミナーをしているなかでこの質問をすると、「企業や商品のイメージアップ」「世界観の統一」といった回答が多いように感じます。もちろんそれは間違ってはいないのですが、あえて定義するならば、私は「いい経営そのもの」と答えるようにしています。

ローマは1日にして成らず、と同じ。ブランディングも1日にして成らず、です。社会にどう役立つのか、つまり何を目的として生まれた企業なのかという志を明確にして、その志を実行していくこと。いくら外面をよく見せても、中身が伴っていなければいつかメッキは剥がれます。人も企業も同じ。言行一致が大切です。内面も外面も磨きながら信念を持って有言実行し、自分にできることで貢献していく。そういう企業が信頼されるのだと思いますし、その積み重ねが強いブランドを築いていきます。

昨今、経営には「パーパス」が必要だということを言われるようになりました。以前から言われている「SDGs」「ESG投資」といった考え方も一般的になったように思います。企業の目的は利益を上げることではなく、社会に貢献すること。それに世界が気づきはじめたのかもしれません。

パーパスは存在意義と訳されることが多いようです。つまり、「なんのために生まれてきた企業なのか」その意義を明確にしましょう、ということです。

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