権力とは、財布を握っていることである

東京税理士会会長が読み解く「帳簿の世界史」

帳簿の世界史』(文藝春秋) 上の画像をクリックすると、Amazonの販売サイトにジャンプします

やがてコルベールが死去すると、ルイ14世は会計の中央管理をやめてしまいます。その後彼は、意のままに国家の財産を浪費していきます。

コルベールの死からおよそ30年。ルイ14世もまた死の床についたとき、フランスは破綻していました。これがフランス革命の遠因にもなっていきます。

これは、現代の税理士や公認会計士にとっても、多くの示唆に富んだエピソードです。

もし私たちが、帳簿で「これはおかしい」という箇所を見つけても、経営者との関係を壊すことを恐れ、それを指摘しなかったとしたら。また、私たちの指摘を受けても、経営者の側がそれを無視して何の対策も取らなかったとしたら。

どちらの場合でも、遅かれ早かれ、その企業の経営が大きく傾くことは間違いないでしょう。

国家、企業は帳簿なくして成り立たない

東京税理士会会長の神津信一氏

「権力とは財布を握っていることである」と言ったのは、財務長官も務めたアメリカ建国の父アレクサンダー・ハミルトンでした。

国家や企業は、帳簿なくして成り立ちません。しかし、これまで会計士の存在は、専門家たちの間でのみ扱われ、ほとんど表に出てくることはありませんでした。その影の男たちの力を、国家、名家、企業の興亡に重ね合わせながら、これだけ面白く読ませてくれるのはこの本だけでしょう。

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