東京で「食べるに困る子」が増えている明確な証拠 雇用難・物価高がシワ寄せ、食の支援の整備は急務だ

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フードバンクやフードパントリー、子ども食堂などの取り組みを育てていくには、企業の4大経営資源と同じで「ヒト、モノ、金、情報」がポイントになる。事業の担い手がいて、資金や物資の出し手がいて、支援を必要としている人々に情報が適切に伝わることが求められる。

「シニアにボランティアとして参加してもらいたい」

一連の取材で現場は人手不足にあるという話も聞いた。たとえば東京子ども子育て応援団の河野さんは「若い世代に比べて相対的にお金と時間に恵まれているシニア世代にボランティアとして参加してもらいたい。そもそも結果的に若い人たちを年配者が搾取するような社会構造になってしまっていることに問題があると知ってほしい。恵まれた人たちが進んで他人のために行動を起こしてくれることを信じている」と言う。

欧米と比べて根付いていない寄付の文化が広まっていくことや、物資を供給する食品関連企業、農家、漁業者などに支援を仰いでいくことにもまだまだ発展の余地がある。そもそも「フードバンク自体がまだまだ世に知られていない」(セカンドハーベスト・ジャパンの芝田さん)。

もちろん行政にできることもあるだろう。たとえば農林水産省は食品ロスの改善やフードバンクの活動支援に予算をつけているが、令和4年度は補正予算を入れても計6億円弱。少ないと一刀両断はできないものの、十分であるとも言いがたい。

日本はバブル崩壊後の「失われた30年」の中で大きな経済成長を果たせず、非正規労働者を増やし、企業がお金を貯め込む中で、長引くデフレに苦しめられ労働者の賃金は長らく上がっておらず、諸外国に差をつけられている。貧富の格差が広がり、富の再分配がうまく機能しない社会の中で生まれ落ちてしまった新たな貧困という側面もあるだろう。

そうでなくても失業、離婚、病気、事故、災害など、ちょっとしたきっかけで貧困に陥る可能性は誰しもにあり、他人事ではないと感じた人もいるに違いない。東京以外の地方ではまた事情が違うかもしれないが、まずはこうした事実を1人でも多くの人に知ってほしい。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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