東京で「食べるに困る子」が増えている明確な証拠 雇用難・物価高がシワ寄せ、食の支援の整備は急務だ
東京子ども子育て応援団は、フードパントリーとして現在都内を中心に約450世帯に1回10~15キログラムの食材を届けている。本部だけでは配り切れないため練馬以外の周辺地域においても有志の協力を得て、いくつかの教会などを食材が配布できるサテライト拠点としている。独自に食品関連企業や農家などから食材を調達することもあるという。
河野さんの話を聞いて驚いたのは、食材配布対象の世帯数が「この2年で倍増し、ここへきてグッと増えている」ということだった。「約7割がひとり親世帯、残り約3割の半分強が障害者・障害児のご家庭で、この比率はだいたい一定です」と河野さんは話してくれた。
約1週間後、今度は池袋から東京メトロ有楽町線で1駅の要町駅(東京都豊島区)から徒歩数分にある「要町あさやけ子ども食堂」を訪れた。2013年にオープンした子ども食堂で、日本テレビ「24時間テレビ」でリフォーム企画が実施されて大きく注目されるなど、地域でも有名な存在だ。
食材配布の列に並ぶ人たちの様子に変化
要町あさやけ子ども食堂もコロナ禍に入って活動が制限され、現在は月2回ほどの食材配布を活動の中心に据えている。店主の山田和夫さんは言う。
「私たちの食材配布に訪れる人は子どもがいるとみられる中高年女性が多いです。皆さんニコニコされていますが、ここ3カ月はもらいたいという気持ちが強いのか真剣度が増しているように感じています。最近は物価高の流れを受けて卵の配布が喜ばれている一方で、私たちも卵を手に入れるのには苦労しています」
年が明けて、東京・浅草橋に本部を置き、フードバンク事業を展開するNPO(特定非営利活動法人)のセカンドハーベスト・ジャパンを訪れて話を聞いてみた。すると、やはり同様の傾向があることがわかった。同法人は直営3拠点をはじめ、東京、神奈川、埼玉の1都2県で約230拠点のフードパントリーへ食材を供給している。