東京で「食べるに困る子」が増えている明確な証拠 雇用難・物価高がシワ寄せ、食の支援の整備は急務だ

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生活保護以外で貧困世帯を救えるような仕組みを行政で本格的に作ろうとしたら、行政職員が動くための新たな根拠法・制度の整備と予算の裏付けが必要になる。ただし、仮にそれができたとしても、本当にかゆいところに手が届くような仕組みを作るのは容易でなく、結局は制度の隙間からこぼれ落ちる人が出てくることが予想される。

かといって「行政の怠慢だ」と切り捨てるだけでは解決しない。だからこそフードバンクやフードパントリー、子ども食堂などといった、行政から補助金などで支援を受けられながらも、民間の力を組み合わせて、最低限の「食の支援」を整え、それを浸透させていく取り組みが欠かせなくなっている。

これは本来食べられるのに捨てられてしまっている「食品ロス」の問題とも結びつく。農林水産省によれば2020年に日本の食品ロスは約522万トンに及ぶ。日本人1人当たりに換算すると約41キログラム、それぞれが毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているのと近い量になる。

食べられるのに捨ててしまっている食品がたくさんある

食品ロスの半分弱は各家庭から、残りの半分強は事業活動を伴って発生する。パッケージのデザインを刷新したり、季節性やキャンペーンなどの限定で作ったり、傷がついて見た目がよくなかったり、形や大きさなどが不揃いだったりなどといった理由で余ってしまい、食べられるのに捨ててしまっている食品はたくさんある。ここにフードバンクやフードパントリー、子ども食堂などの出番がある。

ただし、セカンドハーベスト・ジャパンの芝田さんはこう指摘する。

「食品ロスと貧困という2つの問題解決には関連があると誤解されがちだがそうではありません。企業、個人の余剰食品を必要な方へ提供するフードバンク活動が食品ロス削減に果たす役割はほんの微々たるもので、一方、企業が食品ロス発生を抑制したとしても、それが貧困の解決に直接つながるものではないからです。食品ロスと貧困の問題はそれぞれの取り巻く環境・要因が違う、因果関係が無いので同時には解決しないということです」。

フードバンクやフードパントリーは賞味期限切れで廃棄する食品を集めているのではない。ここをはき違えると、よかれと思ったとしても震災の被災者にゴミ同然の物資を送りつけるような活動に結び付き、当事者を混乱させかねないことには注意が必要だ。

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