「マッチングアプリ」30代独身男性が味わった絶望 「普通の男性」にとっては無理ゲーなのか

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コミュニティーでなくても、趣味で検索するのもよいでしょう。もしかしたら、リアルではまず出会えなかったようなマイナーな趣味に打ち込んでいる異性を見つけられるかもしれません。そういった検索機能は、マッチングアプリのメリットであるといえます。会って話せる確率は確実に上昇するでしょう。

実際に会うことができたら、互いの話はもちろんですが、どんな友人関係に属しているのか、どんな家族関係に属しているのか、と踏み込んだ会話へと徐々にシフトしていくことも考えられます。そこで相手がどのような楽しさを感じているのか、どう必要とされているのかを知ることで、その人の目に見えなかった魅力がより伝わるようになります。

青年はおそらく、女性のアイコンだけで相手を判断していたのでしょう(実際、図星だったようです)。しかしそれでは、自分の絶望を生み出している原因を自ら加速させることになります。だからこそ、“属”を意識して、本当に自分にピッタリ合った女性と出会ってほしいと思います。

しかし、「それで結局うまくいかなかったら、どうするんです?」という青年の質問が聞こえてきそうです。そこで最後に“幸福な孤独”についてお話ししたいと思います。

「不幸な孤独」を「幸福な孤独」に変換する方法

結論から言うと、1人で生きるのも悪いものではありません。ただし、そこで「孤独感」を抱いてしまうと明確に悪い影響があるので、注意が必要です。ややこしいので、孤独を「ソリチュード」、孤独感を「ロンリネス」とわたしは使い分けています。ロンリネスは主に、社会的なつながりを持たないことでもたらされます。

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その弊害は著しく、ブリガムヤング大学のジュリアン・ホルトランステッド教授によれば、ロンリネスを感じている人は、そうでない人に比べて早期死亡リスクが2倍も高いと判明したのです。ですから、マッチングアプリをあきらめてロンリネスを感じているのであれば、それを早急にソリチュードに変換する必要があります。

そのコツは3つあります。「受け入れる(自己受容)」「ほめる(自尊心)」「らくになる(楽観性)」です。この3つの要素を満たすと、“メタ認知”という能力が向上します。“メタ認知”とは、自分を客観的に見る視点のことです。この能力が向上することで、「幸福な孤独」に近づくことができます。

青年のパートナー探しは、好調なスタートとは言いがたいものでしたが、自らの意志と行動で恋愛を成就させようとする姿勢は立派だとわたしは思います。そんな自分を褒めながら、ぜひとも幸福な未来に向けて歩んでいってほしいものです。

前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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