｢マッチングアプリ｣30代独身男性が味わった絶望 ｢普通の男性｣にとっては無理ゲーなのか

実はこの日の対話よりも前、わたしは青年にこんな話をしています。それは、「計測可能なステータスと幸福度の相関関係は強くない」という内容でした。

要するに、身長が高いと幸せだとか、年収が高ければ高いほど幸せだとか、そのような単純な尺度だけで幸福は成立しないということです。しかし傷心の青年は、マッチングアプリでの“敗北”によって自虐的になり、私の言葉を短絡的に捉えてしまっているようでした。

「大事なところから逃げていましたね？」という彼の言葉は、おそらく次のような意味だったのでしょう。……見た目や身長、年収といったステータスが結局はすべてじゃないか、そういう残酷な現実から逃げて、耳ざわりのいい言葉ばかり聞かせてくるなんて、やっぱり先生の言葉は信用できない……。少し困りましたが、ひとまず、もう少し青年の思いを聞いてみることにしました。

マッチングアプリの構造

青年によると、マッチングアプリにはいびつな構造があると言います。それは、「いいね！」をたくさんもらえる男性は、上位1％のステータスを持つ超優秀な“勝ち組”だけであり、残りの99％は自分のほうから必死にアプローチしなければマッチングできない“負け組”だというのです。

言い換えると、女性側は99%の男性が必死に送る「いいね！」をほぼ満遍なく受け取ることができるため、“ラク”にパートナー探しができるのだとか。いささか極端な感覚のように思いましたが、似たような思いを抱いている男性は多いようです。

しかし、これはよくない傾向です。“女性はラクをしている”という思い込みから自由になるためにも、恋愛の基本的なルールを思い出してほしいと思います。

言うまでもなく、恋愛とは、1人と1人が互いに取り結ぶ関係のことを指します。ですから、どんなにたくさんの「いいね！」をもらおうが、最終的に1人の相手と結ばれるのは、男女ともに変わりないはず。