ベトナムを甘く見る人が知らない「驚くべき正体」 戦争のイメージが強いが、発展の萌芽があった

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池上:ベトナム共産党の言うことさえ聞いていたら、お金もうけしていいよ、ということですよね。中国の鄧小平が実施した「改革・開放政策」を参考にしたのです。

増田:ベトナムはASEAN(東南アジア諸国連合)10か国のひとつでもありますよね。

池上:1967年にASEANができたとき、東南アジア各国は北ベトナムの共産主義を恐れていました。ASEANの目的は、東南アジアの共産化を止めることだったんです。発足時の参加国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国でしたが、95年には、ベトナムが参加し、ラオス、ミャンマー、カンボジアも続きました。

2015年には、ASEAN経済共同体(AEC)が発足しました。これは、EU(欧州連合)の前身のEEC(欧州経済共同体)と同じく、ひとつの経済共同体、つまり単一の市場を作ろうというものです。具体的には、関税の撤廃や熟練労働者の移動の自由などですね。AEC発足後、ASEANは高い経済成長を誇っています。

ASEANのなかでは、タイが最初に経済発展を遂げ、首都バンコクに関してはすっかり先進国の仲間入りをした感があります。ただ、コロナ禍は例外として、ここ数年の数字を見ると、タイの経済成長率は3〜4パーセントだったのに対し、ベトナムは7パーセント前後で推移しています。勤勉な国民性もあり、若い人たちも多いので、ものすごい勢いで成長しています。これからますます発展していく東南アジアの魅力を満喫できるのがベトナムだと思います。

増田:魅力といえば、私は刺繡のバッグとか、かわいい小物がこんなに安い値段で買える!と大感激でした。

ホーチミンでは、ベンタン市場に行ったり、小売店の並ぶ通りをチェックしたりして、買い物を楽しみました。ベンタン市場には、2000軒もの小売店があるので、見て回るだけでも楽しく過ごせます。たった一日でオーダーメイドのアオザイも日本円で1万円弱ぐらいで作ることもできました。

街歩きをしながら、フラッと立ち寄ったお店で素敵なものが見つかるのもホーチミンの魅力。お財布に優しい旅先で、衝動買いも楽しいもの。旅先としておすすめです!

池上&増田流 ホーチミンの歩き方

軍事オタクにはたまらない!?戦争証跡(しょうせき)博物館

池上:1960年から75年まで、14年半にわたって続いたベトナム戦争。その間に使われた爆弾の量が、第2次世界大戦で使われた量を上回っていることをご存じでしょうか。激しい戦争の記録が、戦争証跡博物館に残されています。

ベトナム戦争は、北ベトナムと南ベトナムに分断されたなかで、アメリカが支援する南ベトナム政府に対し、国内の反政府勢力を北ベトナムが支援するという戦争でした。社会主義の北ベトナムは、南ベトナムはアメリカの傀儡(かいらい)国家であるから、南ベトナムを統合しようと戦っていたのです。最終的には、アメリカ国内で反戦運動が盛り上がったこともあり、アメリカはベトナムから撤退。アメリカの支援を失った南ベトナム政府は、北ベトナムの攻撃に耐えきれずに崩壊し、北ベトナムが勝利をおさめ、南北を統一します。

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