ゴルフ2大メーカーが毎年新作クラブを出す理由 100万本販売・前年比+16%、好景気のゴルフ業界

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プロモーションでは両者とも世界のトッププロを活用している。

テーラーメイドはタイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、コリン・モリカワをコマーシャルに起用。対して、キャロウェイは、2023年の開幕戦「セントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ」で勝利したジョン・ラーム、翌週の「ソニーオープン in ハワイ」で勝利したキム・シウなど。翌週の「ザ・アメリカンエキスプレス」で勝利したラームも含め、パラダイムが3連勝し、発売に向けて弾みをつけている。

ゴルフ人口増でクラブの供給が不足

ところで、ゴルフ用品の現状、商品戦略について、こうした海外メーカーはどう考えているのか。テーラーメイドゴルフ株式会社代表取締役マーク・シェルドン・アレン氏、同グローバルプロダクトクリエーション上級副社長ブライアン・バゼル氏に話を聞いた。

アレン氏は「コロナ禍でリモートワークが増えた影響と思われるが、ゴルフ場は土日だけでなく、平日のプレーヤーが増え、また女性やジュニアゴルファーも増えた」と話す。

「弊社はコロナ禍でリモートワーク中心となり、製造ラインが大きな影響を受けた。いったん需要がストップしたが、急激に回復し、逆にサプライチェーンも含めて、ゴルフ用品の供給が不足する現象が起きた」

同社は非上場企業なので公開していないが、アレン氏によると、2022年の販売数量などはグローバルで過去最高の売り上げ、利益率を上げることができたという。また、昨年発売したステルスの販売本数については、「世界で100万本単位で販売している」(アレン氏)とのことである。

テーラーメイドのアレン氏とバゼル氏
テーラーメイドのアレン氏(左)とバゼル氏(写真:筆者撮影)

「日本市場は昨年対比30%成長している。カーボンフェースを採用したステルスが、前年モデルのチタンフェースのSIM2より成長した結果だ。また、10月に発売した(日本向けの)ステルスグローレは、60%アップの販売を記録している」(アレン氏)

ちなみに、上場しているキャロウェイが発表している2022年の第1~第3四半期までの9カ月間のクラブ売り上げは、9億5960万ドル(前年比+16%:為替レート固定ベース)、キャロウェイ全体では31億4400万ドル(前年比+34.4%:同)で、ゴルフの好調ぶりがよくわかる。

テーラーメイドがカーボンにこだわる理由を、開発を担当しているバゼル氏は、「カーボンウッドの開発には20年以上かかっているが、自分たちがやっていることを究めていくだけだ」と話す。他社の動向について聞くと、「追いかけてくるのではと考えている。ただ、(他社は)すぐに追随できず、チタンで勝負してくるのではないか」と自信を覗かせる。

「音や空力特性の研究や、それに加えステルスの新しい製造工程を作り上げて生産している。実際にコロナ禍でも投資をし続けているし、フェースの製造は(2021年発売の)SIM2の前から取りかかっていた」

ステルスの開発に投入した費用は「公開できない」とのことだが、次のモデルに関して、フェースを軽くすることは1つの方向であるが、すべてではないという。

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