丸川議員「愚か者」やじ反省に透ける自民党の計算 岸田政権下で冷遇される安倍元首相の秘蔵っ子
長妻氏は衆院予算委基本的質疑2日目の31日午前のトップバッターを務め、立憲民主の有力な論客として岸田首相と対峙した。
1時間にわたった質疑の中で長妻氏は、自らが厚生労働相だった鳩山由紀夫政権当時の2010年3月に、参院厚労委員会で子ども手当の法案が強行採決された際、「自民党が所得制限を強く求めたことを踏まえてある女性参院議員が、『愚か者めが、このくだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に許しません』というやじを飛ばした」と指摘、岸田首相に猛省を迫った。
これに対し岸田首相は、ここにきて所得制限撤廃に軸足を移しつつあるようにみえるだけに、「議論を尽くさないといけないと思うが、その際の発言、行動については、節度と相手に対する敬意を忘れてはならない」と低姿勢で批判を受け止めてみせた。
長妻氏はさらに、「挙げ句の果てに『愚か者めが』と書いたTシャツを、自民党の公式グッズとして1500円で発売、当時の広報委員長がそれ着てはしゃいでいた」と追い討ちをかけ、岸田首相は「議論は大事だったが、節度をこえていたとのご指摘は謙虚に受け止め、反省すべきは反省しなければならない」と事実上の陳謝を余儀なくされた
テレビ朝日の人気アナウンサーとして活躍していた丸川氏が、自民党の誘いに乗って中央政界入りしたのは、2007年参院選。頻繁にやじを飛ばしていたころは1年生議員で、「端麗な容姿に似合わない激しいやじ」(自民幹部)が永田町でも話題となっていた。
茂木氏の「手のひら返し」が騒動のきっかけ
そもそも今回の騒ぎは、茂木敏充自民党幹事長が、1月25日の衆院代表質問で、これまでの同党の方針を転換させて児童手当の所得制限撤廃に言及したことがきっかけ。すぐさま野党側は「手のひら返しだ」(立憲民主幹部)と批判する一方、「野党が得点を挙げる絶好のテーマ」(日本維新の会幹部)と勢いづいた。
茂木氏は1月30日の党会合で「過去にとらわれず、未来志向で必要なことはやっていく」と自らの主張の正当性を強調。岸田首相は茂木発言を「1つの意見」と位置付ける一方で、与党公明党が「所得制限撤廃と対象年齢の18歳までの引き上げ」を求めていることも踏まえ、予算委答弁で「(所得制限撤廃などの提案を)大きな関心をもって注視したうえで、方針を決定していきたい」と最終的に受け入れる姿勢をにじませた。
ただ、岸田首相と茂木氏はここにきて頻繁に密談を繰り返しており、与党内にも「茂木氏と示し合わせて野党や公明に譲歩して国会運営を順調に進めるための猿芝居」との見方が少なくない。
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